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Evasion 2巻 和洋折衷『妖』幻想譚

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11話『猫と少女』



 街の中を、少女は赤いスカートに白の前掛けをひるがえしながら、木靴で駆けていた。
 その足元には真っ白な猫が、相棒のように付き従う。
 淡い金色の髪は片側の高い位置で括られていて、赤いリボンと一緒に彼女が走る後をなびいた。
 一人と一匹からひと区画ほど離れたあたりを、揃いの深緑色のコートと帽子を身につけた男達が追っていた。

「あ、あの子だねー」
 リル達は広い街の隅に達つ背の高い建物の屋根から、それを眺めていた。
 久居には人々は砂粒ほどの大きさにしか見えないが、視力に優れたリルにはそれぞれの表情までよく見えているらしい。
「見つかりましたか」
 久居は、そんなリルがうっかり落ちないよう、背中をしっかり掴んでいる。
「えっと、絵と同じような腕輪をつけててー」
 少女の左手首には、あの絵と模様こそ違うが、確かに同じ形の腕輪がついている。
「白い猫と一緒でー」
 白猫は、透き通るような青い瞳で、まるで少女を守るように、その小さな背に少女を庇うようにしていた。
「悪い人に追われてるんだよね」
 細い路地裏で息を潜め、男達が通り過ぎるのを待っていた少女は、最後の一人に気付かれてしまい、また走り出す。
「うん、間違いないっ」
 リルが、やったとばかりにぐっと手を握りしめる。
「……追われて……いるのですか?」
 久居は、その言葉に引っかかりを感じた。
「うん」
「今現在?」
「うん!」
 元気に頷くリルが首を持ちあげる前に、久居が動き出す。
「助けに行きますよ!」
 ひらりと身軽に屋根から舞い降りる久居を、リルが慌てて追う。
「待ってー、ボクもーっ」
 久居は、リルの指していた辺りを目指し、街へと駆け出した。