コントロールされた暴力
暴力の境界線
「やめて!」
何気に娘の頭を叩いたら、変な雰囲気になった。
私は、冗談とも、愛情とも、からかいとも取れる雰囲気だと思って叩いたのだ。所謂、軽い「ツッコミ」のつもりだった。
「これくらいノリで許してーよ」
でも、娘はショックを受けたようで、目の表情にこわばりを見せた。
「ゴメンって」
私は言い訳をして謝った。しかし、何か亀裂が入ったように感じる。
仲良し親子には遠慮なんか要らないはずだった。ずっとガキだと思ってた子も、もう高校生。デリケートな年頃なんだと理解していなかったことを反省した。
このツッコミと暴力の境界線なんて、一目瞭然だと思えるが、案外そうでもない。
私は古い昭和の時代に娘の年頃だったので、暴力に対する免疫が強すぎるのだろう。自分の性格を省みれば、必ずしもそれが今の子供たちに相応しいとは思えなくなってしまった。
こんなことがあって、過去の出来事を思い出した。自然とそうすることが必要だと感じたからだ。
私の罪の告白を聞いてください。
作品名:コントロールされた暴力 作家名:亨利(ヘンリー)