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狐鬼 第二章

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二人を見下ろす はつねも
一人で突っ立ってるのもなんなので、と
二人の傍(かたわ)らに 人魚座りする

小じんまり円座する 三人

不意に場都合が悪そうに
はつね側の膝に突く肘を 自分 (すずめ)側の膝に移動する
黒狐の様子を すずめは不思議に思いながらも(促された)話を続ける

「「嫌です」なんて言って ごめんなさい」

自分の為 だと言えればいいが
自分以外の為 だと言えればいいが

結局、「始まり」は「終わり」にしなくてはいけないんだ


其の 透いた肌の白さといい
其の 人並み外れた顔立ちといい

其の 光すら断つ 紫黒(しこく)色の眼が硝子玉の如(ごと)く 映る


黒狐の 果てのような眼差しを受け止める
すずめが小さく息を吐(つ)く


覗いたら 覗かれる
覗いたら 魅入(みい)られる


だが もう魅入(みい)られる事はない
自分は「巫女」なのだ

「行きます」

狐鬼 の元へ
ううん、たかの元へ

「(貴方と)一緒に 行きます」

踏ん切り言い切る すずめを見返しながら
はつねが「「行きます」って、何処に?」と 慌て始める

「答え」を求めて
黒狐を見遣れば溜息混じり 後頭部を両手で掻き上げる
笑みで歪める 其の口元から八重歯が姿を現わす

然うして、何と言うのか
すずめは勿論 はつねも待ち受ける 次の瞬間、淡淡と感情のない声が響き渡る

「殆(ほとほと)、呆れる」

同時に(声のする) 大海原を振り仰ぐ
其処(そこ)には 琥珀色の長髪にブレイズヘアを施(ほどこ)す
黒眼鏡(サングラス)姿の 男性が佇んでいた

「お前は 本気で」
「「門」を潜(くぐ)れると思っているのか?、さ狐」

然う 言いながら下方に擦(ず)れる
黒眼鏡(サングラス)から覗かせる 琥珀色の狐目が、すずめを見詰める

其れは 映っているのか
其れは 映っていないのか

すずめには 映っていない
黒狐相手にout of 眼中を決める(をい!←黒狐)
はつねでさえも無視出来ない程の 此の世の枠の外の 風貌を湛(たた)える
男性の姿は、すずめには 映っていない

すずめの目は
男性の腕に抱き抱えられている 少女の姿に釘付けだった

寝間着姿に羽織る 白装束の裾が
腰 迄(まで)ある 黒紅色の髪が、潮風に帯のように靡(なび)く

其れは紛(まぎ)れもない「ひばり」の姿だった

何故?
何故?

然(そ)うした思いの すずめとは逆に
「ひばり」の事 等(など)、我関せず
自分の名前を呼ぶ 眼の前の男性相手に口を尖らす黒狐が 問う

「り狐が なんで此処に?」

「り狐」と 呼ばれる
男性が 感情の読み取れない声で 質問に答える

「お前の 匂いを追って来たんだよ」

然うして
弟(さ狐)の真似なのか 軽く鼻を鳴らした

作品名:狐鬼 第二章 作家名:七星瓢虫