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狐鬼 第二章

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「喩(たと)え 真(まこと)だろうが」
「「白紙」になる事はない」

少年も思い出したように白狐との会話に首ではなく 耳を傾(かたむ)ける

「彼方(あちら)此方(こちら)」
「歪んでいても其れは其れで お前は納得するしかない」

其(白狐)の 翡翠色の眼が艶(つや)めく

「お前の 失った「モノ」が」
「多少、歪んでいても構わないのなら 試してみるがいい」

又(また)しても 魅入(みい)られそうになるも
白狐の言葉に釈然としない 少年が(自身の)唇を尖らせる

子どものような 反応を眺める

嘸や 悔しいだろう
嘸や 歯痒いだろう

ならば 此の「神狐」様が妙策に導いてやろう

翡翠色の眼が ぎろりと少年を射貫く

「件(くだん)の「神狐」に願え」

一瞬で噴きだす 第三眼をフル無視(シカト)で
白狐の鼻先に
自身の鼻先を被せる勢いで前のめる 少年が無言で食い付く

「其れが確実で」
「其れが単純で「珠」を必要としない 問題ない遣り方だ」

贋(がせ)だろうが
真(がち)だろうが

頭の中で繰り返される
言葉に うんざりしながら少年が吐き捨てる

「、何十年」
「、何百年、探しても見付けられない相手なのに」

僕だって

探さない筈 ないじゃん?
真っ先に探さない筈 ないじゃん?

「、如何(どう)やって?」と 訊(たず)ねるのも面倒くさい

徐(おもむろ)に 白狐の鼻先から顔を遠ざける
少年が其(白狐)の鼻口部に顎を乗せて 此の提案の答えを考える

生憎、真偽の程は分からないが
生憎、他の方法は難しい

拒否れば此の(白)狐、死んじゃいそうだし?

徐徐に 白狐の顎の上で項垂れる

少年の思考を共有するも
少年の思考を支持出来ない 第三眼が辛抱たまらず忠告する

「 此(こ)の狐、生粋の「神狐」じゃねえな 」

悲しい哉(かな)
白狐は元より 肝心の少年自体、反応してくれない

仕方なく(?) 第三眼は語気を強める

「 ぷんぷん臭うぞ! 」
「 下手したら化かされるぞ、狐(こ)… 」

言い終わる前に

白狐の 幾つにも分かれる全ての尻尾が第三眼の目ん玉目掛け、飛び掛かる
間一髪、項垂れたままの少年の身体が 頭上の闇に吸い込まれる

然(しか)し

丸(まる)で 傀儡(くぐつ)の如(ごと)き動きで闇を移動する
少年に 第三眼が喚き散らす

「 おい!、避けろって! 」
「 おい!」

如何やら「跳んだ」のは 第三眼の火事場の馬鹿力(?)の結果 らしい

「 おい! 」
「 おい!、狐鬼! 」

腹を立てる 第三眼の呼び掛けにも
其の 手足をぷらぷらするだけの少年を仰(あお)ぎ見る

「返答は 如何(いか)に?!」

白狐が咆哮(ほうこう)さながら迫るも
頭を揺らす 少年は仰け反りながら「きゃはは」と、声を上げて笑うだけだった

作品名:狐鬼 第二章 作家名:七星瓢虫