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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

INDEX|95ページ/145ページ|

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「フム…ここは、もちろん違うじゃろうな…ここも…関係がないからのう…早く外さない事には…」

博士は自分にしか分からない独り言をたくさん言い、ネジを外したりカバーを取り除いたりしていた。その内にターカスのスケプシ回路が表れる。

それは全く完成度の高い、小さな球形の空間だった。

そこにはごく小さな部品がたくさん押し込まれて街のようにきらきらと光り、芸術家が作った作品のようだった。でも、奇妙だと思った。

私が“奇妙だ”と思ったのと同時に、バチスタ博士は「あっ!」と叫ぶ。

「やーっぱりそうじゃ!脳細胞を当てはめたパーツが抜き取られておる!君!これは由々しき事態じゃぞ!まだ聞いていなかった!ターカスを解体した工学者は分かるのか!?」

慌てて振り向き私に詰め寄った博士を、傍に居た“イズミ”は止めたそうにしていたが、彼も驚いており博士の慌てようがただごとではないと分かった。

私は両手を上げて博士との間にやんわり壁を作り、落ち着いてもらいながら話をする。

「え、ええ…軍の方のお調べしたお話によりますと、なんでも、穀物メジャーのデイヴィッド・オールドマンという研究者だとか…」

「かっ!?」

博士はその時両目を大きく広げて叫んた。その目があまりにぎょろっと大きかったので私は驚く。

それから博士はふらりと体ごと虚空へ向かって、一瞬放心したように見えた。だが、博士はだんだんと物凄い形相になり、脅威を前にしているように歯を食いしばって、その隙間から「いいい…」と声を漏らし肩を震わせる。

下を俯いてからは何かをぼそぼそと呟き、博士はしばらくこちらを見なかったが、やがてこう呟いた。

「まずい奴に見つかった…一番まずいぞこれは…」

そう言ってラロ・バチスタ博士は私を見て、私の両肩を小さな両手でがっしと掴む。彼は頼み込むようにこちらを見上げて大声で叫んだ。

「その軍人に儂も会う訳にはいかぬか!もしくは早急に政府に話を通さなきゃならん!これを悪用されたら儂の地位どころじゃない!国家転覆の危機じゃ!」


その叫びはターカスには聴こえなかった。