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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

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「「U-01」だって!?」

“アジト”に戻った私は(エリックは“アジト”という言葉をあえて使っていた)、エリックにグスタフが通信をしていた相手の番号を伝えた。しかし私は、それが誰なのかもう分かっていた。

エリックは驚愕してから俯き、両目を見開いて口元を手で覆っていた。顔を上げた時の彼は、初めて不安そうな表情を見せた。

「合衆自治区大統領…」

私は無言で頷く。

私達ロボットの頭脳には、いざという時のため、あらゆる情報が詰め込まれている。たとえばそれが、アメリカ合衆自治区大統領の部屋へ繋ぐ通信番号であったりする。

ただ、通常は私達はその情報を運用しないし、非常事態以外には他者に漏らす事もない。しかし今の私達は、「人間に不利益な行動をしない」というルールの足枷を解かれて、巨大な情報網を自在に操る事が出来る。

私は、驚いて黙ってしまったエリックの顔を覗き込んだ。

「エリック、状況はとても不利になりました。大統領の意志を曲げるのも、大統領を葬り去るのも、出来るものではありませんよ」

しかし、私がそう言うと、エリックは下から私を睨みつけてきた。そこにはもう一度炎が宿り、その向こう側には、強い悲しみが見えた。

「俺の主人が…なんのために死んだと思う」

私は何も言えなかった。エリックの主人は、陰謀を暴いて平和をもたらそうとしていたのに、裏切りによって亡き者にされたのだ。それを思えば、とてもエリックが諦めてくれるとは思えなかった。

「主人は、守ろうとしたんだ!止めようとしたんだ!そうだろう!」

私は思わず彼から目を逸らそうとしてしまったが、彼は、そうさせまじと私の両肩を掴んだ。そして、地を這うような低い声で、こう言う。

「大統領だろうがなんだろうが、関係ねえよ…絶対に止めてやる…!」