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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

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「目標地点はかなり近い。お前ら、レーザー砲を準備しろ。私は空からの爆破を行う。煙幕が途切れた時にターカスがこちらに向かったら、迷わずに打て。アレはそんなにヤワじゃない。ちょっとやそっとで破壊なんかできんぞ」

「はい」

リチャードが注意深く下を眺めながら答えて、残る二人もレーザー砲が熱くなりすぎないように気をつけながらエネルギーを上げた。

「それから、1分して私が令嬢を連れ帰らず、ターカスもお前たちに攻撃をしない場合、ターカスと闘っているのは私だろう。その時は私を見つけて、援護射撃を頼む」

銭形が部下にそう命令を与えていた時、マルメラードフは緊張気味に後ろにある戦闘員が座ったシートを振り返っていた。

やがて、専用艇は空中で停止する。

「いいか。お前たちだけでターカスと対峙しなければいけない状況が避けられなくなったら、破壊覚悟で全力射撃だ」

「「「了解!」」」





わたしの耳にその時、小さなエネルギー体からの音声が入った。

「いけない、お嬢様が!」

わたしは水辺で捕まえようとした鯉を投げ捨て、慌てて飛行の体勢を立てようと振り返る。その時だった。


「お前がターカスか?」


わたしの目の前に、見たこともない人間が居て、でもすぐに彼が人間ではなく、私より高次の戦術用ロボットと分かった。

「待ちな!逃がさんぞ!」

私は飛んだ。走った。しかし相手はあくまでも私を追い続け、私たちは林の中に飛び込み、そこでもつれ合った。

ずざざざっと林の斜面を削りながら、私は彼を吹き飛ばそうと何度も爆撃を試みたが、彼の体には傷一つ付いていなかったようだった。

“こんなことをしていたら、お嬢様が!”

「放してください!お嬢様が!」

私がそう叫ぶと、彼は自分の両手で私の両手首を掴んだ。

すると私の両手首は離れなくなり、すぐさま両足も同じように何かで縛り上げられた。




私は林を突き抜けた芝生の上に転がりながら、自分を打ち倒した者を見上げる。

「磁力錠だ。同じ戦闘ロボットの君になら分かるだろう。さあ、ヘラ嬢はどこだ?」


「んぐ…う…」

私は段々と音声システムすら機能しなくなっていった。

磁力錠だけではない。この彼が使っているなんらかのエネルギーが…ああ、動力炉が止まってしまう!このままではお嬢様が!

私はその時、私とお嬢様の家のドアが開けられる音をかすかに聴きながら、エネルギー停止直前のエラー音が頭に鳴り響くのを感じていた。

「しばらくおやすみだな。ターカス」