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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

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“人間と変わらない意思決定をする、戦争兵器ロボット…それがターカスのある一面…だとするならば、武力面でこちらは圧倒的に不利だ…”


マルメラードフ部長は客間のベッドで眠っていて、メルバはもうエネルギー補充から覚めていた。シルバはさっきから、マリセルとバックギャモンをしている。

私はこれからこの事件に取り組むため、アルバが戻る以上の武力増強が必要だと感じていた。

現に、アルバとメルバではターカスには敵わなかったのだから。

シルバは情報探索のための捜査員だし、私には捜査の指揮と人員管理しかできないだろう。

そう考えて、私がポリスの端末を取り出した時、別のポケットからアラーム音がした。それは私のプライベート端末の着信音だった。


「はい、アームストロングです」

“遅くなってすまない、銭形だ”

端末の向こうからは、息せき切って話す銭形の声がした。まるでこちらに合わせたようなタイミングに、私は驚いた。

「銭形殿、かなり掛かりましたね。一体どうしたのですか」

“今回は相手の問題だ。そのホーミュリア家はロボット工学の大いなる権威で、世界的に貢献した一族だろう”

「それならむしろ、もっと早くても良かったのでは」

“逆だよ。君は私の端末に、対象のロボットが「人格をコピーされたに近い者だ」と書送っただろう。そこでかなりの間、お偉方が揉めたんだ。そんなスキャンダルを明るみに出すのは、とな”

「ああ、それでですか。でも、あくまで「近い」だけですから…」

“疑問を差し挟む余地は即ちスキャンダルとなるのは分かるだろう。とにかく、私と、機動隊の部下数人がそちらへ派遣されることになった”

「それは有難い。よろしくお願いします」

“ああ、よろしく頼む。もうシップに乗った。あと少しで着くだろう。では”

「はい、では」


私が通信を切った時にはシルバとメルバはじっとこちらを見ていて、メルバの青い瞳は鋭く冴え、シルバの赤い目は静かに動かなかった。彼らの良い耳には、通信端末の音声が届いていたんだろう。

「新しい人員がまた世界連からやってくる。今度は機動隊の隊員で、内の一人は“銭形”だ」

「分かりました」

「あの化け物か…」