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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

INDEX|140ページ/145ページ|

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“ほお!ヘラ様がたちまちよくおなりに!それはめでたいことですな!”

ゴルチエ男爵は大変お喜びになってくれた。「お嬢様がまた元気になりましたので、ご報告を差し上げにテレフォンを致しました」とわたくしは言ったのだ。

“しかし…まだまだ安静にしていなければならないでしょうからな、お見舞いはもう少しあとにしておきましょう”

「いえいえ、お気遣い頂きありがとうございます男爵。そうですね、お嬢様も元気になったとはいえ、まだ回復途中のところもありまして。でももう本当に毎日嬉しそうにお笑いになりまして、わたくしは本当にほっといたしました」

“そうですかそうですか!それはわたくしもほっとしますし、とても嬉しいです!ああ!お嬢様に早く「もう大丈夫だ」と申し上げられる日が来るといいですねえ!”

「ええ、本当に…ありがとうございます、ゴルチエ様…」


「マリセル?誰と喋っているの?」


そこへお嬢様がダイニングにお戻りになった。今はピアノのお稽古のはず。

「ゴルチエ男爵、ありがとうございました。そろそろわたくしはテレフォンを切らなければならないので、失礼致します」

私がそう言った途端、お嬢様は怒鳴り声かと思うほど大きな声で「待って!切らないで!」と叫んだ。

「男爵様ね!?繋いで頂けるかしらマリセル?きちんと代わるのをお話してね!」

私は急ぎゴルチエ男爵に話をして交代しようとしたが、男爵はお嬢様のお転婆な様子に苦笑していた。


「男爵様!ゴルチエ男爵様ですのね!?あなたにぜひともお聞きしたいことがございますの!でもね、お電話でわかるかわからないのよ…だから、うちのお屋敷にいらっしゃいませんこと?」

テレフォンの向こうからは押し殺した大人の笑い声がする。わたくしをからかいたくて堪らないのね、きっと。でもそうはさせないわ。彼が何かを知っているのは確かよ。それを聞き出すまでは上手くやらなくっちゃ!

“ええ、ええ、それはもちろんわたくしは構いませんよ。でもヘラ様、すぐにというわけにはいきません。数日は少なくともお休みにならなければ”

「いいえ!すぐにでいいわ!今日ではございませんことよ、男爵様のスケジュールに合わせてすぐにでございますの。それならよろしいんじゃなくて?」

“なるほど。わたくしは仕事が終わるのが明日ですからな。そのあと一日たっぷりお休みを頂く…そうすればゆっくりとお会いできるでしょう”

電話の向こうで男爵が笑っているのがわかる。意外とお茶目な方なのね。それに、私と似て短気だわ。

「ええ!そういたしましょう!でも、お休みをもっとしたかったらすぐに仰って。わたくしだってたっぷり準備をするんですもの」

“もちろんです。それでは三日後によろしくお願い致します、フォーミュリア様”

「こちらこそ、よろしくお願い致します」