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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

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「ターカス!ターカス!大変なの!」

「どうなさいましたか、お嬢様」

私は歩行器から降りて、じたじたとおなかをよじるコーネリアに向かってかがみこんでいた。コーネリアはさっきからずっとそうやっていて、草を見せても顔を向けてもくれない。

“きっと苦しいんだわ!”

「これは…少々お待ち下さい、お嬢様。少しコーネリアをスキャン致しますので、そちらの方へ…」

「ええ、わかったわ。本当にどうしたのかしら…」

私は背の低い歩行器にしがみついて木の床に座り、ターカスの両目から発した光が平面のスキャナーを作り出して、コーネリアを覆うのを見ていた。

すると、すぐにターカスは真剣な目をする。

「わかりました、お嬢様。コーネリアの胃袋の中に、お嬢様が昨日なくされたとおっしゃった髪飾りの影が見えます。おそらく誤飲してしまったのでしょう」

「えっ!?どうするの!?」

「手術で取り出すのです。もしくは吐かせることができればいいのですが、何分髪飾りには金具がありますから、それは難しいでしょう」

「そんな!コーネリア!ごめんなさい!」

私は、スキャンが終わったあとも苦しみ続けるコーネリアを覗き込もうとした。でも、ターカスはそれを止める。

「お嬢様、一刻を争うかもしれませんので、わたくしはこれからお嬢様のベッドの上をお借りして、無菌室を作ります。お嬢様は、テーブルに就いて待っていてください」

「わ、わかったわ…ターカス…!」

“きっと成功させてね”

そう言いたかったのに、自分の過ちでコーネリアを苦しませている私には、それが言えなかった。でもターカスはコーネリアを手で運ぶのではなく、浮かばせて運び、上に着ている服を脱いでから腹のあたりを開いて、手術器具らしき硬化樹脂をいくつも取り出した。


「お嬢様、ヘラお嬢様」

私はテーブルに伏して泣いていた。

“私がなくした髪飾りを惜しがっている間にも、コーネリアは苦しんでいたかもしれないわ。それなのに私ったら、コーネリアを抱き上げたり、おなかを撫でたり…何も知らずに…ごめんなさい、コーネリア…”

「お嬢様、顔を上げてください」

ターカスの声に顔を上げようとしたら、なんと目の前からコーネリアが私の顔めがけて突進してきた。

「きゃあっ!コーネリア!?」

一体どういうこと!?さっき手術をすると言って、コーネリアは…?

でも、コーネリアはもう苦しがっていないし、いつものように私の首元や唇をふんふん嗅いでいて、ふわふわの鼻を押し付けてきた。

不思議に思ってターカスを見上げると、彼は元のように黒いカマーベストにスラックス姿に戻っていて、まるで何も起きなかったかのようだった。

「もう大丈夫でございます。傷口の部分的な成長促進によって、コーネリアは回復しました」

なんとなく意味はわかったけど、私はやっぱり感嘆してしまった。それから、どんどん涙があふれる。

「ごめんね、ごめんねコーネリア…もうよくなったのね、本当に、よかった…!」

「お嬢様、お目が腫れておしまいになります…」

「いいえ、今くらい泣かせてちょうだい。わたし今、とても嬉しくて、苦しいのよ」

私は、できるだけそっとコーネリアを抱きしめた。ターカスも私をいつもよりずっと優しく、包んでくれた。