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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

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上階から下階までを三段に横から写した簡易な建築地図の内、一番下層にあったポンプの部分をシルバ殿はタップする。そこには、人一人が難無く通れる空間があった。

「これは地下水を汲み上げて飲用水と生活用水にする施設です。こちらには人感センサーは無い。音声抽出機能や監視カメラも、必要無いからです。牢獄として利用されていた時も、何も地下400mの地下水脈に向かって脱獄する犯罪者など居なかった。現在もこの施設がこのままかは分かりませんが、ここなら気取られずに侵入が可能でしょう。初手で気付かれては、あちらに用意をさせてしまいます。不意打ちを狙うのでしたら、こちらをお勧めします」

アームストロング氏は顎を擦り、「フーム」と声を上げた。

「よし、分かった。では侵入はそちらから。シミュレーションをシルバはすぐに組んでくれ。人員はロペス中将の部下に打診する。何人必要か、どのような連隊なら可能かをすぐ」

「では、情報を端末へ送信します」

一瞬間の後にすぐにアームストロング氏の端末には、シルバ殿の希望する人員に関する情報が送られてきたらしい。それをアームストロング氏は軍へ転送する際に、“コードAAA”と付け加えていた。


2分後、人員はこちらに届き、私達はそれぞれの端末や思考回路で情報を共有し、各人作戦に移った。

だが、作戦の指示はシルバ殿ではなかった。元々彼は軍の人員ではないので、軍のロボットを指揮する権限は与えられていない。なので、ロペス中将の右腕と名乗ったロボットが、それにあたった。

「初めまして、皆さん。私はメキシコ自治区軍少将であります、これより作戦の指揮を執らせて頂きます、マリオです」

私はそのロボットに会った記憶は無かったが、恐らく戦時に徴用されていた時に彼は私を見たのだろう、「ターカス」と手を差し出され、私達は握手をした。




つづく