小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
根岸 郁男
根岸 郁男
novelistID. 64631
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

取調室 証言

INDEX|2ページ/3ページ|

次のページ前のページ
 

   沙智の上半身が冷蔵庫に打ち付けられているので、冷蔵庫上の漬物樽がぐらぐら揺れてくる。
   友哉、沙智を床に押し倒し、跨り、両頬を殴る。
   沙智、床に落ちていた花瓶の破片を掴み友哉の顔面へ殴りつける。
沙智、右足を動かし、顔面を抑えている友哉の顔を足で思い切り蹴とばす。
   友哉、上半身を起こす。ゆっくりと立ち上がると、顔が血だらけだが、椅子を掴み
   床に横たわっている沙智めがけて持ち上げる。
   沙智、上半身を起こし、友哉めがけて体を突進し、胸元あたりに体をぶつける。
   友哉、上体をよろめきながら冷蔵庫にぶつけ、座り込む。
   振動ではみ出た漬物樽が友哉の頭を直撃する。
   ガクリ、と項垂れる友哉。
   愛梨、沙智を見る。
   沙智、友哉を見て
沙智「死ね、死ねばいいんだお前みたいな奴。死んでも自業自得さ、生きていたって婦女暴行で刑務所いきさ。ざまあみろ」
   睨んでいる沙智。

〇 取調室 
岡部「そのあとすぐに救急車呼んだが打ちどころが悪く搬送先の病院で亡くなった、というわけですか」
   沙智、頷いている。

〇 警察署 取調室  (深夜)
   テーブルには友哉(21歳)と岡部が向き合っている。
岡部「まだ、火葬も葬儀も終わっていないんだっけ」
友哉「はい、今、検察医が警察署の死体安置所で俺の遺体の解剖をしています」

〇 警察署 霊安室
   ストレッチャーにシーツをかけられ仰向けの状態になっている死体の友哉。
   風穴(68歳)がこれから解剖しようとしている。
   風穴、じっと死体の友哉を見ている。
   風穴、少し上体をそらし、首を左右にまげてぽきぽきと鳴らす。
風穴「今日はこれが最後だし、その前にコーヒーでも飲むか」

〇 警察署 取調室
岡部「まだ、安心してあの世にいけない状態ってわけか。…すぐ終わると思うから少し付き合ってくれ」
友哉「俺は暇っす」
岡部「そうか…そうだな。君は美容師の店長代理だって?」
友哉「沙智にはそう言ってるけど、本当はただの美容師です。店長代理ってだれもしらないし、沙智に、かっこつけたいだけなんで。」
岡部「あの日、沙智さんのアパートにいったのは」
友哉「あの日?ああ、俺が死んだ日ね。…最近沙智が俺と別れたいっていうんで、こりゃまずいと思ってね。なしにろあいつは金持ちだし」
岡部「金持ち?」
友哉「刑事さん、何も聞いてないスか。あいつの母親最近死んで、保険金が入ってきたんすよ。妹と二人暮らしして。ああ、父親は他の女に手をだして帰ってこないって。母親が死んで葬式に線香あげに来たと思ったら、とんでもない。保険金おれにもよこせって、葬儀式の日に騒いで親戚の人たちに白い目で見られてすごすごと帰ったとかいってたよ。」
岡部「そういう話を聞いているんじゃない。君が死ん日の事だよ」
友哉「ああ、そうすか。いや、保険金の話も聞きたいかと思って…」
岡部「君と違って警察は暇じゃないんだよ」
友哉「すんません。えーっと。俺もよくわかんないス。けど妹、名前なんていったかな。高校生のくせに、結構エロイ女であの日も俺を誘ったんですよ。ほんとうですよ。」

〇 沙智のアパート 玄関
   友哉、ドアチャイムを鳴らす。
   パンティだけ履いてラフなTシャツを羽織っただけの愛梨がドアを開ける。
友哉「沙智さんの彼氏です」
愛梨「入んなよ」
〇 同 中
   愛梨の生足と腰から覗けるお尻とパンティ。
   友哉、ちらりと見るが、関係ないという風に軽く咳払いして後からついていく。
〇 同 居間
   愛梨、食卓テーブの中央においてある大き目の花瓶が邪魔なので缶ビールで端の方    へ動かし友哉の目の前に缶ビールをおく。
   愛梨、友哉の反対側に座り、頬骨をついて見る。
   愛梨の胸からはブラのしていない大き目の乳房の膨らみが見える。
   友哉、愛梨の胸のふくらみを見ている。
愛梨「お姉ちゃんと私のどっちのおっぱいが大きい?」
   愛梨、少し、Tシャツを下げて胸を見せる。
友哉「うーん、よくみえないな。」
愛梨「もっと見たい?」
友哉「えー、見ていいの?」
愛梨「いいよ。私の部屋で見る?」
友哉「お願いしまーす」
   愛梨、立ち上げって
愛梨「カモン」
   愛梨、人差し指でジェスチャーする。

〇 警察署 取調室
   岡部、両腕を組みながらニヤニヤ聞いている。
岡部「信じられんな。で、そのあと、どうすれば、君が死ぬことになるんだよ。おかしいだろ」
友哉「いやいやほんとの話、嘘なようでほんとの話なんすから」

〇 沙智のアパート 玄関
   沙智が、鍵を開けて入ってくる。
   沙智、玄関に友哉の靴を見る。
沙智「あいつが来てんの?なんで、金?」
〇 同 居間
   食卓テーブルには飲み干しの缶ビール。
   沙智、愛梨の部屋の方を見る。
沙智「愛梨、入るよ」
   沙智、軽くノックをしてから引き戸引く。
   愛梨のベットに愛梨と友哉が布団をかけたまま絡み合ってもぞもぞしている。
〇 同 愛梨の部屋
   沙智、掛布団を剥ぐ。
   ベッドの中で抱き合っている愛梨と友哉。

〇 警察署 取調室
   岡部、腕を組みながらニヤニヤして聞いている
岡部「それからどうなるんだい」
友哉「俺たちが仲いいもんだから沙智は逆上してオレを引きずりだしてきた。テーブルの花瓶を床に落として、その破片で俺の顔にちかづけ、殺してやると言いやがった」

〇 沙智のアパート 居間
   命乞い(?)する友哉に
沙智「妹に手を出しやがって。殺してやる」
友哉「妹さんの方からお姉ちゃんよりかわいいって褒めてくれたからベットで一緒にエッチしようって。」
沙智「愛梨、本当かい、嘘なんだろ」
   部屋からでてきた愛梨
愛梨「(両手を合わせて)お姉ちゃんごめん」
   沙智、向き直り、友哉を睨みつける。
沙智「許さない!」
   沙智、這って逃げようとする友哉にテーブルの椅子を掴むと高く持ち上げ、友哉に投げつける。友哉、ゆっくり立ち上がる。
沙智「馬鹿野郎、死にやがれ」
   沙智、頭を低くして友哉めがけて突進してくる。
   沙智、友哉の胸に頭をぶつけ冷蔵庫の扉へぶっつける。
   冷蔵庫の上にある漬物樽が揺れ出す。
   友哉、しゃがみ込む。
   漬物樽が落下して友哉の頭を直撃する。

〇 警察署 死体安置所
   友哉の死体を覗き込んでいる風穴、メスとハサミを傍らの用具入れにおき、
風穴「頭蓋骨骨折、問題なし」

〇 警察署 取調室
   岡部、両手をテーブルの上で組んでいる。
岡部「どっちにしろ死因は冷蔵庫の上に置いてあった漬物樽の落下による事故ということだな。事故死で殺人とかの事件性はなし、ということでこの件は終了」
   岡部、立ち上がる。
岡部「君も安心してあの世にいけるといいね」
   反対側のテーブルにいる、友哉。生気のない表情。
   友哉、次第に姿が消えていく。

〇 沙智のアパート 愛梨の部屋 朝
   大きな鏡には天井のシーリングライトが映りこんでいる。
   学校の制服を着た、愛梨の上半身が鏡に映りこむ。
   愛梨の顔のアップ。
作品名:取調室 証言 作家名:根岸 郁男