取調室 証言
タイトル「取調室 証言」
《 登場人物 》
沙智 (20歳)主人公 美容師 友也とは別な店で働いている。
友哉 (21歳)美容師 店長代理 腕はいいが遊び人
愛梨 (17歳) 主人公の妹 高校生
岡部 (38歳)刑事第一課 取り調べ担当警察官
風穴( 68歳) 監察医
〇 警察署 取調室 (夜)
テーブルに沙智(20歳)と向かい合うように岡部(38歳)が座っている。
沙智は体を少し斜めにして足を組み両腕を組んでいる。
岡部「君と亡くなった友哉くんの関係を知りたいんだが、今日は殺人容疑で君を勾留しているわけではなく、任意捜査の一環なので話が終わったら帰っていいですし、話したくなかったら話さなくてもいいです。しかし気になるようなことがあれば、緊急の電話をしますのでまた出頭してください」
沙智、体をテーブル正面に向き直り、頬杖をついて聞き流している。
沙智「あんな奴、死んでよかったのさ。いままで私を騙していた罰が当たったのさ。あいつは元カレ。前まで付き合っていたけど、金、金ってうるさいのさ。自分は店長代理で顔が効くから君をうちの店へスカウトすっから、なんとか言っちゃって結局金をせびるためのセリフだったのさ。うっかり信用していた自分もバカだったけどね。だけどあんな馬鹿を殺してまで刑務所へいくようなドジはしないさ、人生もったいない。あの日も私に遊ぶ金をせびりに家にきたと思うよ。私は店が忙しくてその日は少し遅くなったけどね、危機一髪で助かったよ。もっと帰りが遅けりゃ愛梨がどうなっていたか。一番迷惑したの妹の愛梨さ。彼氏と待ち合わせてデートするために着替え中だった。そんなときにあいつがきて…」
〇 沙智のアパート 二階 愛梨の部屋
愛梨(17歳)、自室でスマホを手にして鏡を見ながらこれから着ていく衣装をあてがって見ている。傍らには女の子らしい可愛いベッドがある。
ラフな大き目のTシャツを纏っていて、下半身からは足が見えパンティが動くたびに見える。
上半身は裸の上からTシャツを被っているだけなので、こちらも動くたびに位置によっては乳房のふくらみが、見え隠れする。
スマホ相手に、
愛梨「今日はどこ行く?まず、私はショッピングいきたいな。付き合ってくれる。OK,じゃ急いで着替えして待ってるからね」
〇 沙智のアパート 表
金髪のチャラそうな男性、友哉(21歳)がGパンのポケットに両手を入れて少し左右に体を揺らして口笛を吹いて歩いてくる。
二階に上がる鉄骨の階段を軽快に上ってくる。
友哉、沙智のアパート自室の前のドアチャイムを押す。
〇 沙智のアパート 愛梨の部屋
愛梨「(スマホの相手に)はーい、誰か来たようだ。早く迎えにきてね、エロイ格好で待ってるからね」
愛梨、そのままの格好で玄関ドア口までいく。
〇 沙智のアパート 玄関
愛梨、ドアスコープから除く。
チャラい男性の友哉が髪をかき上げたりして格好をつけている。
愛梨、チェーンをつけたままドアをあける。
愛梨「誰、あんた」
友哉「沙智、居る。待ち合わせなんだけど」
愛梨「あんた誰って聞いてるでしょ」
友哉「俺の事、聞いてない?沙智のか、れ、し。」
愛梨「お姉ちゃん、まだ帰ってないよ」
友哉「中で待ってていい?」
愛梨「わたし、もうすぐ出かけるんだけど。彼氏がくるの」
友哉「迷惑かけないス。待ってるだけだから」
愛梨、ドアチェーンを外す。
友哉、入ってくる。
愛梨、踵を返して居間に向かう。
愛梨のお尻、足が見える。
友哉、それをみてニヤニヤしている。
〇 沙智のアパート 居間
食卓テーブルが中央にあり椅子が二個ある。
食卓テーブル中央には大き目の花を入れた花瓶がある。
愛梨「(椅子を引いて)ここに座って姉がくるまで待っててくれる?。私は自分の部屋で着替えしているから、入ってこないでよ。冷蔵庫にはビールが入っているから飲んでいいよ。」
友哉、座りながら冷蔵庫を見る。一メートル八十センチメートル以上ある大きさの冷蔵庫。
友哉「でけぇ。二人で使うにしちゃでけぇんじゃねぇの」
友哉、冷蔵庫を見ている。一番上には少し大きめの漬物樽が三分の一くらいはみ出している。
三分の一はみ出た漬物樽。
友哉「(見ながら)あぶねえな」
友哉が愛梨の方を見るが愛梨の部屋の引き戸は閉まっている。
友哉、ゆっくり立ち上がり冷蔵庫から中を開けてビールを探してテーブルに置く。
花瓶が少し邪魔なようでテーブル端のほうへ動かす。
友哉、愛梨の部屋を見る。
友哉、ビールをごくごくと飲み干す。
友哉、空になったビール缶を置いて、愛梨の部屋のドアを見る。
友哉、ニヤリと嗤う。
友哉、ゆっくりと立ち上がると静かに愛梨の部屋に近づく。
友哉、引き戸を少し開け、中を覗く。
愛梨、後ろ向きになり、大き目のラフなTシャツを脱ぎ、上半身裸になる。
友哉、もう少し引き戸を開ける。
引き戸がガタンと僅かな音をたてる。
愛梨、音に気付き裸のまま、振り返る。
愛梨の両乳房が見える。あわてて両手で乳房を隠す。
引き戸の隙間から除いている友哉の眼。
引き戸がバシンと閉まる。
愛梨、急いでラフなTシャツを着なおして、怒って部屋の引き戸を開ける。
引き戸を開けた瞬間、友哉が立ち尽くしている。
友哉、愛梨を抱き寄せる。
愛梨「やめてよ!」
愛梨、右膝で友哉の股間を蹴り、両手で突き飛ばす。
友哉の体はバランスを崩し、食卓テーブルの端にあたり、揺れで花瓶が倒れ、転がって床に落ちる。花瓶は大きく割れ、床に花と水が散らばる。
友哉「このやろう、やりやがったな」
友哉、再び、愛梨に挑み抱き寄せ、キスをした儘、乳房を揉み始める。
愛梨、必死に抵抗する。
〇 沙智のアパート 玄関前
沙智が帰って来、玄関前にいる。
沙智、鍵を取り出し、開ける。
沙智、玄関ドアを開く。
中から聞こえる悲鳴と威嚇する友哉の声。
沙智、急いで、中に入る。
〇 沙智のアパート 居間
愛梨が濡れた床の上に、愛梨の体に跨って暴行を働いている友哉。
沙智「友哉!離れろ。愛梨に何してんだよ!」
暴行を辞めない友哉。
愛梨「助けて、お姉ちゃん!」
沙智、先ほど友哉が座っていた、椅子を持ち上げ、友哉の頭、背中に振り下ろす。
友哉「いてぇ!」
友哉、振り向く。沙智、再び椅子を持ち上げ友哉の背中に振りかざす。
動きが止まった友哉。友哉、沙智の方を振りかえり
友哉「やりやがったな沙智!」
友哉、よろめきながらゆっくり立ち上がり沙智を睨みつける。
友哉、沙智を掴み、冷蔵庫の扉へ背中を打ち付ける。
友哉「こいつが、こいつの方が俺を誘ったんだ。俺の事がすきだってな」
沙智「(打たれながら)馬鹿言ってんじゃないよ。だれがお前なんか好きになるかよ。身の程知らずめ」
愛梨、座りながら少しづつ後退りしていく。