「ちょこっと街ある記」 9/名古屋、豊田、豊橋、浜松、静岡
私の中では、静岡市より人口が多い浜松市はどんな街なのか、今回の東海行きの1つの目玉でもありました。特に「楽器の街」としてのイメージが強い上に、オートバイメーカーなどの付加もあります。
もうすぐ浜松駅に着く頃に、電車の窓から1棟の「高層の建物」が見えて、都会では…との期待を持ちました。しかし70万人もの人口があるなら、駅に近づくにつれて住宅やビルの街並みがありそうなのに、そうでもない。
さてさて降りたった浜松駅、さっき見た高層ビルは確かに駅の横に建っていたものの、ここも人通りが少ない。政令指定都市の駅前が寂しいわけがない…と思っていた分、「あれっ!何だか拍子抜け」のようになりました。
豊田市でも思ったのですが、浜松市も企業の工場などを確認しないと本来の姿が分からないのかも知れません。それはそれとして、もっと勢いが感じられる駅前の街の形を期待したのが良くなかったのか、やや残念でした。
40万人前後の街なら納得できる街並みでも、75万人を超える政令指定都市としては、物足りない駅前です。だから何?と言えばそれまでですが、3時間ほど滞在予定の浜松市だったし、せっかくなのでちょっと街の中へ。
とりあえず駅前から商店街を回ってみましたが、やはり中堅都市ほどの規模にしか見えませんでした。中心市街地・商店街と言える地域が思いのほか狭い感じで、市の勢いは郊外の地域にあるんでしょうかね。
さて、しばらく歩いて昼食時間も過ぎようとする頃になって、「あら、餃子を食べんといかんやった!」ややガッカリしていたので餃子専門店の存在を探さなかったのかどうか、つい忘れるところでした。
狭い通りに「餃子・ラーメン・炒飯」の看板が目に入りましたが、「餃子の○○」はあまり無かったような…。それでも、浜松餃子の名前につられてお店を探したので、それなりに名前の効果はあるんでしょうね。
それにしても、街並みが期待通りではなかった分、道路では「ドドドッ」と言うバイクの響きが欲しかった。東海地方の政令指定都市なのに中心市街地が静かなのは、私にとってはどうしても期待外れなのです。
但し、駅周辺の告知板やポスターなどの内容は、さすがに音楽関連のお知らせが多かったように感じました。そこはさすがに楽器の街としての面目躍如と言ったところで、周辺地域の文化度を高めているようです。
それにしても、その日だけなのか昼間の浜松駅周辺はすれ違う人も少なく、やや活気に欠けていたのは残念。駅の横にある40階建てくらいのビルの1階部分も閑散としたスペースで、何に使うビルなのかよく分からない。
企業城下町としてそれなりの知名度と人口を抱えていても、都市としては普通の中堅都市なのが分かりました。もちろんそんなことは私の目線からの話なので、政令指定都市と言う立派な街であるのは間違いないところです。
さて、静岡市までの移動時間を調べてみると、浜松〜静岡は新幹線で20分、東海道線で約1時間10分です。50分くらいの差はありますが、新幹線料金を節約して、ここも快速電車のお世話になることにしました。
静岡市までの東海道線の沿線には、磐田・島田・掛川・焼津など立ち寄ってみたい街がたくさんあります。それぞれの駅に停車するたびに、窓から街の一部が見えて、やはり新幹線に乗らなくて良かったようです。
◆静岡市(人口 約70万人)
夕刻になってその日に泊まる静岡市に到着。静岡駅では行き交う人の流れが多く、都会に来た…と感じました。時間的に人出が多い頃だったのか、私の感覚として本来の政令指定都市の姿に見えたのは確かです。
浜松市と比べても仕方ありませんが、工場地と商業地の施設などを含めて、街の形態が異なるのでしょう。静岡市が都会とまでは言えませんが、「来て良かった」と感じさせたのは間違いありません。
A市とB市の駅前の姿を見て、どこがどう違うのか…私はその違いを見過ごせない、変な感覚があります。「街歩き」の条件の一つとして、ガヤガヤと人が多い街が好きと言うより「都会的な街の形」が好きなのです。
たまたま今回は浜松と比較してしまいましたが、こっちが○でこっちが×などではありません。来て良かった街なのか…そうでないのか…、単に私の好みの範疇で、他の街の場合も同じと言えば同じです。
ホテルへは駅から歩いて7〜8分、途中に商店街とクロスした遊歩道などもあり、雰囲気が良いですね。何となく地元の人の心遣いが感じられ、ホテルから食事に出かける時もついその道を通りました。
翌日、「静岡富士空港」からの出発時間が15:00頃だったので、半日は静岡市内を散策する時間を確保。静岡駅前から静岡空港行きのバスが1時間に1本程度出ていたのですが、空港まで40分ほどかかります。
13:30頃発のバスに乗るようにして、空港で30分くらい待ち合せしたら丁度良い時間になります。駅まで一旦戻り改めて駅前通りを県庁方面に歩いたのですが、予想よりも都会の景色を見ることが出来ました。
交通量も多く、通りの建物も政令指定都市としての面持ちがあり、街自体が整っているように感じます。人口にふさわしい雰囲気があって、横浜〜名古屋の間では間違いなく一番都会的な姿を持っていました。
静岡市街地のほぼ中央に駿府城址(公園)があり、徳川家康に最もゆかりあるお城として有名です。私が訪れた時は天守閣跡の確認だったのか、何やら発掘作業が行われており、再建に向けて調査中のようでした。
10分ほど城址公園の芝生や土の上を歩いていると、足の裏が何かフワッと柔らかくなったように感じました。そう言えば、私の「街歩き」は95%以上が市街地のコンクリート・アスファルトの上を歩くと思います。
もしかしたら久しぶりに芝生や土の上を歩いたかも知れず、足の裏が土の優しさに安堵したのかも知れません。そうか、やはりたまには足の裏を休めてやる必要があるなあ…と感じさせる何だか初めての感覚でした。
その城址公園内、天守閣の跡を調査中のエリアの近くに「徳川家康の銅像」が大きく構えていました。銅像を見るだけで存在感を感じさせるのは、やはりその名前から受ける印象でしょうか。
城址公園の周辺には県庁などの公共的建物や高層ビルも多く、静岡県の中心地の様相を呈しています。駿府城公園はほぼ四角形にお濠が巡らされ、メインの通りに面した建物がお濠の水に映えるのは印象的です。
公園でしばらくのんびりした後は、お城周辺の街並みを楽しみ、お昼を済まそうと再び静岡駅方面へ。途中の片側4車線ほどの広い道路沿いに、大きな商業ビルが見えたので誘われるように中へ入りました。
そのビルはかなり大きく、5〜6階までの吹き抜けのスペースにはランダムにエスカレータが動いていました。私鉄の駅も入っていたようで、こんな大規模な施設があれば、より都会らしい雰囲気が出るのは間違いない。
さて、そのビル内の飲食街でお昼も済ませ、そろそろ静岡空港行きのバスに乗るために駅前に戻りました。ところがどういう訳か、乗った空港行き直行バスが何だか冴えない普通のバスで、座席のクッションも今一つ。
作品名:「ちょこっと街ある記」 9/名古屋、豊田、豊橋、浜松、静岡 作家名:上野忠司