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画像:さらば宇宙戦艦ヤマト真田ロング
 
こんなやつらが頭を働かすとろくなことがないのはどこの世界も同じである。すぐ深読みしようとするが、深読みして考えるのが、
 
   「反社長派に違いない」
 
という浅はかなこと。でもってこのとき、さっき見せたようにグリコは警察に知らせずに裏取引を試み、失敗したという。『キツネ目』の著者はそう書いてるが、おれが読むところなんだかなあ。
 
本には「警察に謝罪」の話が、
 
   *
 
 ロッテリア茨木店の翌日、グリコの幹部は大阪府警に足を運び、平野雄幸捜査一課長に頭を下げた。元捜査幹部によれば、グリコ側は平身低頭でこう謝罪したという。
「実は、警察に内緒で裏取引をやろうとしたけれど失敗した。我々では、とても無理だとわかった。以後は、警察のご指示通りなんでも従います」
 
アフェリエイト:キツネ目
 
こう書いてある。
《我々では、とても無理だとわかった》
ねえ。なんか妙な言い方だな。その理由はさっき見せたように「犯人からの電話の指示が聞き取れなかった」からだとあるが。
 
本当にそうなのか?と思ってしまう。こういうのを〈下司の勘繰り〉で〈ダメな深読みの典型〉と言うのかもしれないし、実際、おれがゲスの勘繰りをしてるだけかもしれないけれど、でも思ったから書いてしまおう。本当に裏取引を試みて失敗しただけなのか、と。
 
画像:さらば宇宙戦艦ヤマト真田アップ
 
   こんなやつらが
   「オレ達で捕まえよう」
   と考えて、やってまるで
   ダメだったんじゃねーのか?
 
と。試みたのは〈裏取引〉でなく〈犯人の捕縛〉だった。外部の人間や下っ端が香料の仕入れ元を知るわけがない。ましてや住所や電話番号を知る手段があるわけがない。
 
画像:通販の箱
 
グリコの〈第一艦橋〉で〈古代進〉がそう考えた。サナダさん、ボク達で捕まえましょう。警察にはまかせておけない。やつらが、
「けいさつに ナカマが おるんや」
と書いてきてるということは、警察にやつらの仲間がいるに違いないのです。警察に知らせたならば情報が敵に筒抜けになるだけです。それに警察に知らせたら、マスコミにすぐ嗅ぎ付けられる……。
 
最後のマスコミうんぬんはまったくその通りでもあった。4月8日はそれで……いやいや、これについてのおもしろい話は『キツネ目』を読んでいただくとして、〈古代進〉は、
 
「だからボクらでやりましょう。敵は反社長派に違いないのですよ、サナダさん! 警察には無理なんですよ、反社長派なんだから! このまま反社長派の好きにさせるんですか、サナダさん。捕まえられるのはここにいるボクらだけではないのですか!」
 
という。でもってまだ携帯電話がない時代にトランシーバーとポケベル持って、〈チーム古代〉がそのロッテリア茨木店へ行ったのだった。結果はまるきりダメな惨敗。
 
というのが本当のところなんじゃねーのかオイ。でもそんなこと言えないから、裏取引に失敗したことにしてんじゃねーのかようおう。
 
――というのはおれというゲスがしている下司の勘繰りですけどね。しかしグリコの内部でも、内部犯行説を信じて犯人の仲間探しとかいろいろやってたやつがいたのも確かとわかるからねえ。
 
どうなんでしょう。とまあ、そんなところで今回はおしまい。続きはまた。ある団体が脅迫を受けて自分達で捕えようと取引場所に刺客を送るが……というような小説でおもしろいのが何かないかとお探しの方は、おれが書いて〈楽天コボ〉に出している、
 
画像:クラップ・ゲーム・フェノミナン表紙
https://books.rakuten.co.jp/rk/c4c936f145e636b5b3a9d0fee0752ce7/?l-id=item-c-seriesitem
 
これをどうぞ。ただし現在、このリンクを押してもページにたどり着くことはできません。始めの5分の1ほどのみ、小説投稿サイト〈ノベリスト〉で公開している、
 
https://novelist.jp/88870.html
 
このリンクから読めますが、取引場面は含まれません。代わりに以前に出した短篇をまとめたものを〈楽天コボ〉で販売中です。よろしければ。
 
画像:図書館の本を濡らしたら(と6つの短篇)表紙
https://books.rakuten.co.jp/rk/c0ece09decea3050b225c2ac729aa740/?l-id=search-c-item-img-01
 
作品名:端数報告4 作家名:島田信之