端数報告4
銀の当たりがいくつなら金の当たりと換えられるのか
今回は前置き抜きに前回の続きを始めよう。〈朝日〉をとってて7月18日の新聞を捨てずに持ってた人ならば、中をめくっておれの話に嘘がないのを確認していると思う。
その続きだが、前回ここに、去年8月から〈朝日〉に毎週掲載されてた、
画像:7月11・18日の新聞
このデータが7月25日の新聞に載っていなくて、
「あれれ。なんで?」
と思ったという話を書いた。今、上に置いたのは前回見せたのと同じ7月11・18日の分なのだ。
で、あれを書いて出した後でまた図書館に行き、新聞の棚を見てみたんだが、次の8月1日と8日の分にもやはり載ってなかった。ひょっとして他の曜日に移ったのかなと考えて1週分全部見たけどどこにもなし。
3週続けて不掲載――これはどういうことだろう。あのデータの公開は取り止められてしまったのか。
なぜ? としかし、それはさておき、6月の分が縮刷版になっていたので毎日曜のデータを見てみた。あんまりおもしろくないけど見せよう。
画像:6月分のデータ
こうだ。変わり映えしねえな。このころもテレビは毎日、
「感染爆発が止まりません! 感染爆発が止まりません!」
とわめき叫んでいたと思うが。
でも実際の数字はこうだ。大人の言うこと全部嘘――が、しかしこれでは皆さんもおもしろくないと思うので話を変えよう。今におれがおれのPCでインターネットを開いてやるとまず画面の下の方に、
画像:ニューストピック
こんなニューストピックが頼みもしないのに出てきて読める。《新規感染1万5670人以上 4日連続最多》だとか言ってやがんな。ええと今年1月7日に、
画像:1月7日の番組表
《全国7568人 過去最多》と言っていたのが1万5千てことは、倍だ。コロナの感染が途轍もないところまでいってるように見えますねえ。
おれには見えないけどさ。おわかりと思うが、その日、おれはケケケと笑いながらこの画面をカメラで撮って、それから図書館に行ったのだ。朝には雨が降っていたのが、午後になって止んだからね。
でもって8月1日と8日の新聞をまず調べて、やっぱり妖精率のデータは載ってねえなあと考えた。しょうがないからトイレに持ち込み、代わりに撮ったのが、
画像:6月29・30日の新聞
画像:8月6・7日の新聞
これだ。上が縮刷版から撮った6月末の2日間と、下が最近の新聞。
見てほしいのはそれぞれの下の方に、
6月29日は新規感染者1,002人で死者38人。
6月30日は新規感染者1,381人で死者30人。
となっていて、それがひと月ちょい後に、
8月6日に新規感染者15,263人で死者8人。
8月7日に新規感染者15,465人で死者20人。
となっていること。妙だろう。妖精が10倍に増えているのに死者が半分に減ってるってことは、
コロナの致死率は20分の1になってるってこと?
それもひと月ちょいで。あるいは、重症者も減ってるのだから、発症率が減ってるか、コロナの毒はものすんごく弱くなってるということなの? 人間を油断させて〈波〉を起こすために。でも人間を油断さすなら、妖精の数を増やすのは変だよなあ。だいたいウイルスがなんで人を油断させようなんて戦略を練るんだ。
――と、これはまったく今この時点で昨日今日の話なのですぐお読みになられる方はおわかりと思うが、さらに奇っ怪なことに、今回の感染者数増加はほとんど首都圏に限ったことであるらしい。東京・埼玉・神奈川・千葉でだけピカドンと増えていて、他の県はそのままなのだ。
東京で一日4千、首都圏で1万。それが東京4020の首都圏10050、東京4040の首都圏10100……という具合に毎日増え出した、という。首都圏でだけ。わかりますね。これについて学者先生はなんと語っておられるのか。
「ハイ、それはですね、オリンピックでうんぬんかんぬん……」
「飲食店です。飲食店が悪いんですよ。ラーメン屋が夏だからって『冷やし中華始めました』なんてことをやるもんだから……」
って、そんなんでこうは増えねえだろう。それにどうして死者・重症者の数が増えんの。増えんどころか、減るの。反比例してるのか。相変わらず救急車は一日中ひっきりなしに、ピーポーピーポーとサイレン鳴らして町を走ってるけどさ。
――と、まあ、わかるよね。15263、15645、そして15670。この数字は首都圏で検査する数をそれまでの10倍にもいきなり増やしてさらに毎日少しずつ増やすことで作ったのに違いない。7月18日の新聞にあるデータによれば、7月アタマに東京で週5万9千人。一日8500人を検査して6.2パーだから《今日は527人》というような妖精の数を出していた。
それがひと月で4千人。あるいは4250とすると、日に検査する人数が8500のままならばいま現在の東京都民全体に対する感染者の割合は50%ということになる。
8500の半分の4250が妖精だから50パーだ。わかりますね。ふたりにひとり。しかも51、52、53パー……と増えていってるということになる。7月18日の新聞に書かれた《59301件》というのが正しいのなら必ずそうなる。わかりますね。その後に検査態勢を変えていないというのであれば……。
必ずそうなる。わかりますね。けれどもおかしい。だったらなんで、
「首都圏の半分が感染者ということになってしまいました! 人口が3000万として1500万! しかもどんどん増えています。推定1510万、1520万、1530万という具合に日増しに増えている計算です!」
と言わんのか。
そう言わなきゃわからんだろう。《東京4000;首都圏10000》が《4020;10050》《4040;10100》《4060;10150》……では物凄い爆発のように聞こえるけれど一方で、何がなんだかわからない。いきなりガガーンと増えたと思うとなんでその後が少しずつ増しなのか、それもわけがわからない。だから結局テレビが何を言おうとも一般市民はみんな落ち着き払っていて、
「暑いですねえ」
「冷やし中華とか食べたいですね」
などと話して歩いている。日本は平和な国である。おれは以前は「この国はこれでいいのか」などとちょっとは思わんこともなかったけれど今は考えを変えましたね。「平和ボケ国家ばんざい」、という気にかなりなってきた。コロナなんかに慌ててヤレ〈禍〉だの〈波〉だのといきりたって早口でまくしたてる人間の言葉をウンウン頷いて聞くやつは、かつてヒトラーだのトロツキーだのといった者達の演説に酔ったイカレ国民と同じだ。それに比べておれが住んでいる町の通りを歩く人々はなんと素晴らしい人達だろうか。
という気にかなりなってきた。だけどこないだ運転免許の更新で警察署に行ったとき、入口に立ってやがっておれに向かってコロナのマンエンがどうだとか、横柄に言い垂れやがったあのマッポの野郎ときたら……。
思い出しても腹が立つ。あれで給料もらってやんのか。税金泥棒が。〈役人〉とは〈役に立たない人間〉の略。あいつのことだ。