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端数報告4

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「ヤマトの諸君。地球は、我々のものだ。(略)我々は個であり、全体であるのだ。そう、アルファーであり、オメガであるように。(略)お前達は我々を怒らせ過ぎた。我々は、屈辱を忘れない種族だ」
 
画像:実写ヤマト1 実写ヤマト2 実写ヤマト3
 
とかゆうもんと思ってしまってはいけない。そんな考え方はしてない? どうかな。世の中にはわかっているつもりでいても、わかっていなくて失敗することがあるもんだとおれは思うが。
 
おれの手元に田宮俊作・著『田宮模型の仕事』(文春文庫)という本があり、タミヤのミニ四駆は最初まったく売れなかった、なんてことが書いてある箇所がある。引用すると、
 
   *
 
 一九八二年七月、初代ミニ四駆は発売されました。
 (略)
 しかし結果的にはまったく振るわず、営業的には評価の対象にもなりませんでした。
 (略)
 私はアニメ作家の大塚康生さんに相談してみました。
 (略)
 大塚さんはミニ四駆を手にとり、上から下から、いろんな角度からながめ、
「ほお、この部分のディテールも再現してるのか。よくできてるねえ」
 と、うなずいてくれました。
「ただね、田宮さん」
「はい」
「これは真面目すぎるよ。(略)子どもが対象なら、見た目のおもしろさが必要だと思うけどねぇ」
 大塚さんの言葉に、私も同行していた長倉企画部長もハッとしました。
 ミニ四駆はいままでのようなスケールモデルではありません。子どもに遊んでもらうためのキットなのです。そのことを、わかっているつもりでいました。ですが、わかっていなかったのです。(略)
 
アフェリエイト:田宮模型の仕事
 
こんな感じだ。さて、あなたはウイルスが人に悪意を持つわけでなく、〈虐殺キャンペーン〉みたいなことを企て実行するわけでなく、強毒型が生まれ広がるなんてことが起きたとしても偶然で、より多くを殺すために戦略を練るなんてこと決してしないものだというのをちゃんとわかってるつもりでいますか。
 
おれはわかってるつもりでいる。キリンと違ってコロナに対し、応募ハガキに《史上最大の災厄希望》と書いて送ろうとしてもキャンペーンの事務局なんかどこにもないというのがわかる。シールを集めて、
「応募用紙○枚分になったな。これなら」
なんてやっても無駄だ。意味がない。
 
おれの脳はそうおれに言う。〈彼ら〉は常に〈抽選〉をしてもいるけど彼らの都合でやってることで、やり続けねばすぐに滅んでしまう儚い存在だからやってるだけのことである。より多くの人間を殺す型を生み出すための抽選じゃないから、福引の車箱にその玉が入っているかどうかもわからん。あるかもしれないが、ないかもしれんのだ。そして最近のガシャポンの機械のように〈抽選機〉に細工があって、中にその玉があったとしても出さないようにしてる見込みすら有り得る。
 
なんてなこともおれの頭ではわかってるつもりだ。ビール会社のプレゼント・キャンペーンと違って〈当たり〉を出すことは、ウイルスにとってなんのメリットもないことだから。〈彼ら〉にとって宿主は死なれちゃ困る存在なので、自分から積極的に殺そうとすることなどない。毒を出したら宿主のやつは抗体を作って追い出しに来るから、なるべくならば毒なんか持たないようにさえ心がけてる。仲間の中に強毒型がいると自分もとばっちりを受けるから、できる限りそんなのは生まれないようしたりもするのだ。
 
それはもちろん完全じゃないから抵抗力の弱い老人などがまあ死ぬようなことにもなるし、強毒型がまた生まれて広がるおそれがないわけじゃない。だがわかるだろう。確率は低い。けれどテレビは「感染が拡大すると波が来るのです。すぐそこにまで迫っています」と繰り返す。
 
わかるだろう。これは必然に起こると言ってる。必ずなると言っている。100パーセントの確率で絶対にと言ってるわけだ。WHOがそう言うから。
 
そして検査で確認された累計数をあげつらう。累計がもうこれだけになりました。百万ですよ。千万ですよ。〈波〉が来る。今度こそ〈波〉が来ます。言うけどそれが二千万になり三千万になっても何も変わらない。その累計が何人になれば〈波〉が来て何人死ぬと言うのか。
 
その推測の値すらない。おれに言わせりゃこれはプレゼント・キャンペーンの応募感覚なんじゃねえかと考える他ないことになる。《史上最大の災厄希望》と書いたハガキを百万・千万枚とコロナに送ってこれだけの数になったんだから、もう当たっていいはずだと言っているのだ。
 
そんな話を前回にしたね。WHOがそれをやっている、と。WHOがそれをやるから世界のどこでもそれをやり、日本の厚労省もやる。勉強のできる人間は答が決まっている問題に答を出せるだけなので、問題が間違ってるときそれに気づくことができない。
 
だから答える人間が百人いれば答案は百がみんなバラバラになる。それでも【感染が拡大すると波が来る】という前提を疑うことがないので自分の答と他人の答を見比べてなんとかスリ合わせを図る。
 
ところが翌日出てくる話がそれとまったく合わないので、また最初からやり直しだ。ロト6は予想可能。誰かさんがそう言うのだから予想可能に違いないのだ。ワタシの予想が外れるのは何かが足りないだけなのだ。
 
「感染者の累計が○人になった」と言うのは誰だ。whoである。東京で一日千人検査して65人が陽性ならば割合は6.5パーと言えるのに、「もっと検査しろ。もっと検査しろ。十倍やれば『650』と言えるだろうが」と言ってやらせているのは誰だ。whoである。割合でなく感染が確認された実数を取り上げ、《650》を世界全体の累計に足す。そうして「もうこれだけになった」と言って見せているのは誰だ。もちろんwhoである。
 
しかしそんなことをして、一体何がどうなると言うのだ? 仮に妖精の割合が世界全体の平均で10%であるとして、70億中の10パーならば妖精の数は推定7億ということになる。その計算ができないはずがないというのに、検査によって確認された実数が千万だから「千万」と言う。
 
これはすなわち自分がコロナに出したハガキが千万枚だから千万なのだ。そのうちどれか一枚が当たるという考え方だ。プレゼント・キャンペーンの応募感覚。それをWHOがしている。
 
そう言うしかないだろう。「スペイン風邪を遙かに超える史上最大の災厄です」、とブチ上げて始めたものが死者数百万くらいでは格好つかないもんだから、なんとか一億死んでもらって、
「ホラ言ったでしょ。スペイン風邪の2倍でしょ」
と言いたい。いや、言わねばならない。だから抽選の確率を上げるためにハガキを送る枚数を増やす。
 
プレゼント・キャンペーンの応募感覚。それをWHOがしている。そう言うしかないだろう。その「累計千万」は日に千人を検査してるところに「もっと検査しろ。2倍、3倍、10倍だ」と言って増やした千万だ。そう言わなければ百万なのだ。なのにそんな累計をWHOが振りかざしているが、その数字がコロナがやってる〈抽選〉にどう関係すると言うのか。
 
作品名:端数報告4 作家名:島田信之