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プトレマイオス・マリッジ・トラベル

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 船旅は続いている。私たちはサジタリウスの港へ足を運ぶ。港で一番大きな喫茶店の中で、私たちは向い合って座っている。
「ずいぶんと遠くまで来たね」
 彼は窓の外を眺めて言う。旅は終盤へ近づいていた。私は知っている。これがどこか遠くへ行く旅ではないことを。最初からわかっている。
「指輪は」
 私の言葉に彼がこちらを向く。
「どうしたらいいかしら」
「どうって、なにを?」
「私、わからなくて」
 彼は考えるようにして紅茶を飲み、それから私に言う。
「君の好きな風にすればいいよ。つけてもいいし、つけなくてもいい。僕は強制しないよ」
 私は彼の言葉に頷き、ミルクと砂糖を紅茶に入れる。先にミルクを入れた私は後悔する。ぬるい紅茶の中で、砂糖がカップの底に溜まっている。
 彼が私に話しかける言葉の全てが甘くとろけ、私の体を溶かしていく。まるでバターのように、キャラメルのように、とろけた私は彼という型にぴったりとして同化していく。
 私は心の中で耳をふさぐ。
 彼を愛している。
 愛しているのに、不安が私を突き立てる。
 このままではいけない。
 きっと、おそらく、そうなのだ。