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プトレマイオス・マリッジ・トラベル

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 船旅は続く。私たちはスコーピオの港に身を寄せる。
 赤い光に覆われた港は広く、私と彼は手を繋いで歩く。あちこちにきらめく蝶が飛び回り、メシエの光が様々な露店に光を灯している。私たちは気まぐれに露店へ立ち寄る。
「やあ、新婚旅行だね」
 私たちを見るなり、男はそう言う。
「すぐにわかるよ。そういう空気をしているからね」
 男の髪は赤く発光し、燃えるように揺らめいていた。長くのびた毛先はさそりの尾を思い起こさせる。
「あなた方にはこれをあげよう」
 するりと男が差し出した掌に小さな指輪が二つ現れる。指輪は淡い光を湛え、ガラス球の中には小さな炎が揺らいでいる。
「金はいらない。これは私からの気持ちなんだ。結婚とは素晴らしい。私にも祝わせてほしいんだ」
 私たちはそれを受け取り、店を後にする。
 私たちは無言で港を後にし、船に乗る。
 彼の指には何もない。
 私の指にも何もない。
 沈黙の海を船は進んでいく。