#2 身勝手なコンピューター セルフセンス
「彼らが隠れられる所などないはずです」
「・・・ということは、まさか」
「はい。恐らくそうでしょう」
二人は神妙な面持ちで、お互いを見た。
「教授が行方不明になった時と同じです。量子コンピューターが彼らの存在を消してしまったのではないでしょうか?」
「いや、そうだとしても、もうコンピューターは破壊されてしまったよ。彼らの存在は、消滅してしまったと言うのか?」
「そうかもしれません」
Pruuuuuuuuuu・・・Pruuuuuuuuuu・・・・・・
突然、通信モニターの呼び出し音が鳴った。カズはラボの入口からゆっくり後退りし、外を注意深く凝視したまま、モニターまで辿り着いた。そして受信のボタンを押した。
「チョウ様、何が起こっているんです・・・」
「カズ・・・」
その声にカズは、慌ててモニターを見た。
「え? 母さん? どういうこと? なぜそこにいるの? チョウ役員は?」
「睦美君なのか?」
ロボットの姿をした飛鳥山教授もそのモニターの映像に問いかけた。そこにはカズの母、宇野睦美の姿が映し出されていた。
「先生なのですか?」
睦美はそのロボットに問いかけた。
作品名:#2 身勝手なコンピューター セルフセンス 作家名:亨利(ヘンリー)