#2 身勝手なコンピューター セルフセンス
★バーーーン!!!
と、スパークする火花と共に大きな音がして、ラボ中が真っ暗になった。
カズはその音に驚き、一瞬頭を抱えて身を伏せたが、その場の二人には何の危険も及ばなかったようだ。非常灯はすぐに赤く点灯したが、モニターは消えてしまっている。
「カズ君、想像以上に破壊されてしまったようだね」
教授は落ち着いて話した。カズは慎重に辺りの様子を確認しながら、ラボ入口のドアに近付いた。
「何か変です。外が静かです」
しばらく様子を伺いながら二人はどうするべきか思案したが、やがて周囲の設備が自動復帰して明るくなり、再びモニターが表示された。
「どういうことだろうか?」
「いや、私にも解りません」
モニターにはラボの入口の映像が映し出されている。しかし、そこには侵入者たちの姿がない。
「他の映像を確認してみたまえ」
「はい、しかしどのカメラにも奴らの姿はありません。一体どこに行ってしまったんだ」
二人は慎重にモニターに映る映像から、研究所内をくまなく捜索した。しかし、インフォン社の突入部隊の姿は確認できない。
「外に出てみます」
「大丈夫なのか?」
この時、カズには確信があったのだ。ドアを開けても問題ないと。カズはラボの内側から、そのドアを開けた。しかし、そこには人影どころか、彼らが持ち込んだ機材さえなかった。
作品名:#2 身勝手なコンピューター セルフセンス 作家名:亨利(ヘンリー)