#2 身勝手なコンピューター セルフセンス
カズは飛鳥山コンピューターを起動しようと、装置の電源を入れた。重たいファンが回り出すと、モニター表示が始まる。カズはその状況を、いつもの通り確認していると突然、
★バン!!!
何かが破裂するような音が、背後から聞こえた。
「なんだ!?」
カズが異音の周辺を確認しようと近寄ると、そこにはポチが煙を上げて倒れていた。
「ポチ! どうしたんだ一体!?」
カズは、まだ火花の散るポチの体を抱き上げた。そこに飛鳥山(ロボット)が近付いた。
「いつの間にここに来たんだ?」
「一人でアニメを見るのが、寂しいと言っていたんです」
「それで追いかけて来たって言うのかい? まるで幼児のような行動だ」
「でもどうして、電源ケーブルを・・・」
「まさか今の会話を聞いていて、自殺したんじゃないかね」
「そんな? ロボットが自殺するなんて」
「量子コンピューターから出る過電流を、わざと浴びたようだが」
ポチは飛鳥山(コンピューター)から引き延ばされた、中継ケーブルの先端を自分のCPUに接触させているのだ。
「そんな、ポチ。私は君の思考データをコピーして、飛鳥山(コンピューター)にインストールするつもりだったのに」
カズは優しく、ポチの頭を撫でてやった。
作品名:#2 身勝手なコンピューター セルフセンス 作家名:亨利(ヘンリー)