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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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#2 身勝手なコンピューター セルフセンス

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 その後、飛鳥山教授は新しいボディに慣れる訓練を行った。カズが設計した上半身は完璧な状態ではなかったが、人以上の運動能力を持っていた。ただ、旧式のポチの足のせいで走ることはできなかったが。
 やがて準備は整い、カズはこの研究所から出ることを決めた。そのためにはポチの思考データを飛鳥山(コンピューター)にインストールし、クラッシュさせなくてはならない。

「ポチ、目を覚まして、ポチ」
 カズは、研究台の上に横たわるポチに優しく話しかけた。
「はい、カズ博士。・・・ポチは停止していたのですか?」
「ああそうだよ。君に謝らなくてはいけないことがあるんだ」
「何があったのですか?」
「新型ロボットの組立が間に合わなかったから、君の足を借りることにしたんだ」
「ポチの足? ・・・カズ博士、ポチの足がありません」
「ゴメン、ポチ」
「カズ博士、これではポチは歩くことが出来ません」
「新型の足が完成したら、ポチの足を返してあげるから、しばらく我慢して」
「カズ博士、ポチは嫌です。足がないのは嫌です。足を返して下さい」
「今それはできないんだ。いい子だから言うことを聞いて、作業はしなくていいから」
「足がないと、ポチは作業も出来ません。椅子に座って動けません。作業は新型がするのですか? もうポチは必要ないのですか?」
「そうじゃないよ、ポチは私の友達だろう。そうだ、アニメを観せてあげよう。それならいいだろ?」
「1日中、アニメを観てもいいのですか?」
「うん、今まで観たアニメをもう一度全部観てもいいよ」
「うれしい、ポチはうれしいです。ドラ〇もんが観たいです」
「よかった。じゃ居住区に連れて行ってあげよう」
 カズは行動を起こすのは明日にして、今日一晩だけ、ポチの望みを叶えてやることにした。