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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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#2 身勝手なコンピューター セルフセンス

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「しかし、コンピューターからわしがダウンロードされたと判ったら、君もただじゃすまないだろう」
「ええ、そのためにポチのAIを育成してきたのです」
「コンピューターには、わしの身代わりにポチをインストールするのか? しかしそれでは誤魔化しきれん」
「ええ、研究成果を急ぎ過ぎたことにして、データを破損させます」
「なるほどな。このコンピューターの解析は人間には不可能かもしれない。わし自身どうしてこの中に保存されてしまったのか、理解出来ていないくらいだから」

「量子って言うやつは、本当に身勝手でつかみどころがない。こちらが想像した通りの結果になることもあれば、まったく意味不明な結果になることもある」
「それが量子の特徴です。それを人間が利用するのは不可能だと思っています」
「その通りだ。その危険性を実感出来ているのは、世界でもわしらだけだろう」
「母も同じことを言っていました。皆、量子物理学を希望の目でしか見ていないと」
「かつて核エネルギーを獲得した時のように、手を出してはいけない領域なのかも知れん。そんなものに魅力を感じるのが人間というものなのか、それとも、それこそが量子が導く量子物理世界の摂理なのか」
「そうですね。私と母も、量子が我々にそうさせている、という仮説を立てました」
「うむ、人がキャンバスに自由に絵を描くように、量子はこの世界を身勝手に作っていく」
「その絵が美しければいいですが、恐ろしい絵も描いてしまうかもしれません」
「その作品は一つではない。名画もあれば駄作も同時に描いているに違いない。幾パターンも。いや、むしろ無限にパラレルワールドを形成してるに違いないのだ」
「では、私たちは結果を恐れる必要などありません。どのような結果になろうとも、量子はまた新しい可能性の世界を形成して、継続してくれるはずです」
「このことを理解できる人間は少ないだろうな」
「それは仕方ありません。飛鳥山教授の頭脳を以ってしても、理解を超えた超科学ですから」
「これはSFなんかじゃない。むしろオカルト小説の分野だよ」