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倫五さんの「ほんのちょこっと街ある記」4/熊本・長崎・福岡

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また、熊本市内で見かける「樹木の多さ」は、街づくりをする際の為政者の心遣いが垣間見えます。それを象徴するような、幹回りが数mもあるようなクスノキの並木や、背の高いイチョウの並木は圧巻です。
 
熊本城周辺には周遊バスがあったようですが、私は遠回りで街の様子を見ながら熊本駅まで歩くことに。ところが一つ手前に「上熊本駅」と言う駅があり、熊本駅まで行かずに上熊本駅から帰ることに変更しました。
 
現在の熊本駅周辺は、政令指定都市の駅前の姿にしては、スケール不足の寂しさは否めません。加えて中心街からも離れていて、駅舎そのものがそれほど大きくない上にやや老朽化が目立ちます。
 
九州の政令指定都市として、福岡市・北九州市・熊本市の駅前だけを比較してみると分かります。博多駅前の賑わいは全国的にもスケールが大きく、小倉駅前モノレールなど都会の雰囲気がありますね。
 
今後、熊本駅は大幅に改築される見通しで九州を代表する都市の駅にふさわしい形に生まれ変わる計画です。駅周辺の環境整備も進むらしいので、政令指定都市の駅前にふさわしい姿になって欲しいものです。
 
再構築される駅から中心街までつながるルートが、中心街と同様に都会らしい光景になることを期待します。そうなれば私も博多に行くエネルギーを分散して、熊本に出かけることにしましょう。
 
 

【長崎市】
 
◆長崎市(人口 約42万人)
 
私にとって長崎市は、佐賀県外の主要な都市では福岡市に次いで多く訪れる街です。20年ほど前に高速道路が開通するまでは、車で行くのに片道3時間近くかかっていました。
 
高速道路が出来てからは佐賀市からおおよそ100kmの距離で、片道1時間10〜15分ほどなので便利です。しかし、鉄道を使うとなるとまだまだ不便な面も多く、特急料金を払うより高速料金を払う方を選択します。
長崎市は街の形態からして観光地としての要素が多く、それだけでも行ってみる価値はあります。全国でも指折りの人気スポットなのは間違いなく、結局のところ佐賀県は長崎県への通過県のようですね。
 
そして江戸時代以降、鎖国から幕末時までの歴史は京都にも匹敵するような日本史を刻んでいると言えます。江戸時期のキリシタン弾圧〜終戦時の被爆まで、悲劇を一手に引き受けたのではないかとさえ感じます。
 
そんな思いを持たせる長崎市ですので、訪れる時に一種の敬虔な気持ちを抱くのはオーバーではありません。
歴史的にも波瀾万丈の歩みがあり、ことさら大きな街ではないのに日本でも屈指の有名な街なのは確かです。坂が多くて全体的に狭い印象を受けますが、街並みがそれなりに大きいのは上手な土地利用だからでしょうか。
 
市街地を走る路面電車は名物の一つですが、大通りだけでなく狭い道路を縫うように走る風景も少なくありません。えっ、こんな道路にも路面電車が走るの?…と思わせる場面では、それこそ車と上手に共存する必要があります。
 
気のせいか、ビルや諸施設などの建物も容量が小さいものが多いようで、土地に余裕がないのがよく分かります。市街地から少し入った住宅地などは、あたかも斜面に張り付いたかのように見えて、住みにくそうですね。
 
そんな中で、長崎市に行く時はなるべく寄ることにしている、私のお気に入りの場所があります。いかにもリゾート地にも見え、象徴的な風景としてテラスがある飲食店が集まる板張りの船着き場です。
 
港と言うより船着き場…と呼ぶのがふさわしいそのエリアは、近くに美術館や芝生の公園もあってお洒落です。
そこから歩ける芝生公園は、狭いと言うイメージとは縁がないような広さがあり、海を見ながら楽しめます。
 
長崎市は、港町、坂の街、中華街、異国情緒…など多くの異名があって、色々楽しめるのは楽しいですね。但し、何度も行っているのにもかかわらず、実は何故か長崎市を「街歩きの視点」で見たことがありません。
 
それは私一人で長崎市に出かけることはなく、夫婦二人とか家族が一緒なのでそぞろ歩きをしないからでしょう。と言うより、自分では改まって長崎市の街歩きをしてみよう、とならなかったのも不思議と言えば不思議です。
これまで全国数十ヶ所の都市を、狭い範囲ではありましたがその街を「街歩きの目線」で歩きました。ところが長崎市に行った時の目線は、他の都市を訪れた時の目線と最初から違っているのでしょうかね。
 
福岡市に行く時は「街歩きの視点」なのに、長崎市に行く時は「何だか分からない視点」では何かおかしい…。次回に長崎市を訪れる際は、改めて街歩きの目的で行くようにしてみたいと思います。
 
さて、この原稿を書いている令和元年11月に、フランシスコ・ローマ教皇が日本を訪問されました。その際、被爆地の広島・長崎にも足を運ばれたのは誰もが知るところです。
 
私は教皇が被爆地を訪れる順番として、当然のように広島市が先で、次が長崎市だと思っていました。到着された東京からは広島市が近いし被害も大きく、最初に被爆したのも広島市だったからです。
 
ところが教皇は、長崎を訪問された後に広島を訪れたのは何故なのか…些細なことですが、少し疑問でした。
私が最初に感じたのは、教皇が手にしていた1枚の写真が、長崎で撮影されたからなのでは…でした。
 
すっかり有名になったあの写真は、確かに長崎で撮られたのでしょうが、果たしてそれだけでしょうか。ニュースではほんの少しの紹介でしたが、長崎の「26聖人殉教地」と、その記念館を訪問されています。
 
まさしく主たる目的の1つとして、広島よりも26聖人殉教の地への訪問を優先されたと感じました。もちろん私が感じただけなのですが、そうでも思わないと、長崎→広島への訪問順番が推測出来ません。
 
世界に13億人と言われるカトリック教徒のトップの教皇が、極東の日本で殉教した信者の地を訪ねるのは、あたかも日本の天皇が、沖縄や太平洋各地で戦死した御霊を慰霊する旅程を踏まれることに通じました。
 
 

【福岡市】平成28年9月

◆福岡市(人口 約157万人)
 
福岡市は、言わずと知れた大阪以西の西日本最大の都市です。
 
1980年頃にクリスタルキングが歌った「大都会」は、聴いた人の誰もが東京のことと思ったことでしょう。ところが、佐世保市で育ったクリスタルキングの面々は、博多の街が大都会に思えた…とかなんとか。
いずれにしろ福岡市の「小東京」の異名は、然るべき名称として異を唱えることはありません。
 
空港があまりにも市街地に近いので、高層ビルの建設は一定以上の高さにならないように規制されています。なので、他の大きな都市のような超高層ビルはなく、10階〜15階くらいの高さが並んでいるような状態です。
 
大阪の伊丹(大阪)空港と同じく市街地に近くて、大きな飛行機がすぐそばを飛んでいるように感じます。それでも最近の規制緩和で、空港から少し離れた地域では30階建て以上の建物も建てられているようです。
 
佐賀市で育った私から見ても、九州では「別格の都市」として捉えられます。
もちろん関東や関西の大都市などに比べれば基本的に太刀打ちは出来ませんが、それでも十分に都会です。