フリーソウルズ Gゼロ ~さまよう絆~
千晶 「うちの執事。おじい様のお世話係をしてもらってるの。和田、この人は・・・」
和田 「(遮って)お寒いでしょう。さあさ、お車に」
鈴木から千晶を引き離そうとする和田。
鈴木 「待てよ。この子が家に帰るかどうかは、この子自身が決める問題だろ」
和田 「優里お嬢様に向かってこの子だなんて。いま会長がこちらに向かっております。あなたのためを思って申しあけます。もしあなたと優里お嬢様が一緒にいるところを会長に見られたら、あなた、八つ裂きにされますよ」
千晶 「違うの、和田。この人は私を守ってくれたの。助けてくれたの。お礼を言わないといけないくらいなの」
ハイヤーが到着して昭吉が降りてくる。
昭吉 「優里、無事だったか。心配したぞ」
千晶 「ごめんなさい、おじい様。あたし・・・」
昭吉 「優里、お前に謝らないといけないことがある。笠戸でしたこと。それは大きな間違いだったと、やっと気づいた。ただお前の笑顔に会いたかった。でもそれは年寄りのわがままだった。してはいけないことをしてしまったのだ。結局、お前を幸せにできなかったし、青山の家族にも迷惑をかけた。優里、お前は自分の身体に戻れ。そしてその身体は青山千晶さんに返す・・・」
千晶 「おじい様・・・」
鈴木 「ふざけるな!」
昭吉 「誰だ、あんたは?」
鈴木 「誰でもいい。あんた、よく言えるな、そんなむごいこと」
昭吉 「どういうことだ。あるがままの姿に戻すだけだ」
鈴木 「孤独と絶望が死ぬまで続くんだぞ。それをこの子にもう一度強いるというのか」
昭吉 「あんたの意見など訊いてない。行くぞ、和田」
和田が千晶の肩にケープをかける。
その和田の腕を掴む鈴木。
和田がスタンガンを鈴木の腕に押しあてる。
腰砕けに地面に尻餅をつく鈴木 。
鈴木 「(腕を押さえながら)行くな、優里!」
千晶 「いいの。優里はこれでいいの!」
鈴木 「だめだ、優里!」
優里、和田、昭吉がハイヤーに乗りこむ。
昭吉がハイヤーの運転手に行先を告げる。
昭吉 「セントヘレナ記念病院へ」
拳銃に手をかけるが、痺れて取り出せない鈴木。
作品名:フリーソウルズ Gゼロ ~さまよう絆~ 作家名:JAY-TA