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＃１．プロローグ

神戸セントヘレナ記念病院
神戸市郊外に広大な敷地を持つ総合病院。
数百人の入院患者と千人近い病院関係者が常時いる病院が二人を除いて無人。　
玄関ホール吹き抜けにバルコニー型二階廊下。
手帳サイズのタイマーを握る手。
タイマーの液晶数字が変化する。

０３：５５　０３：５４　０３：５３

警察庁内務監査官遠藤博之がタイマーを握っている。
バルコニー式の廊下の手すりを背にして立っている遠藤。
タイマーと遠藤の着用している防刃ベストが赤と緑のビニール線で繋がっている。
廊下の奥は天井照明が消え、非常灯とわずかに漏れる外光のみで薄暗い。
その薄闇の中、拳銃を構えて立つ鈴木淳刑事。
銃口は遠藤博之に向けられている。
玄関ホール、廊下、病室等、病院内はふたりを除いて他に人影はない。
その玄関先に数百メートル離れた場所から照準を合わせる狙撃手。
丘陵地を走る道路のガードレールに、銃先をのせて狙っている。
貯水池の建物からも、病院玄関を狙う長距離銃。
高台の道路には、黒塗りの高級車と濃緑色の装甲車が停まっている。
装甲車の横に立って、男が双眼鏡で病院を覗いている。
遠藤の額に汗が滲む。
タイマーに視線を落とす遠藤。

０３：０１　０３：００　０２：５９　０２：５８