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端数報告3

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よって日本でも国民全員、永久にマスクを着けて生きなければならなくなる。テレビに映る者達が宝くじに狂う限り。
 
数寄屋橋で並ぶ人間は、最初は1万持って並ぶ。この1万が一億だ。次に2万持って並ぶ。次に3万持って並ぶ。ロト6も毎週買うようになり、ナンバーズも毎度毎度買うようになる。5万10万20万と使う額が増えていくと、考え方が変わってくる。
 
「当たるまではやめられない」
 
に。もう一億円と言わない。五千万でいい。二千万でいい。とにかく当たりが出るまでは、やめるわけには絶対にいかない。
 
だから絶対に当たるのだ。当たるまでは絶対にやめないのだから絶対に当たる――そんな考えに変わってくる。そうして50万・100万と、さらに額を増やしていく。
 
週刊誌のナンバーくじ予想ページも、本気にして毎週毎週読むようになる。いよいよ累計投資額は膨大なものになってしまい、そこでまた考えが、
 
「元を取るまでやめられない」
 
に変わる。その後は、
 
「半分でも取り戻さねばやめられない」
 
になるまでほんのちょっとだ。
 
最近のテレビを見るともう映るやつ映るやつ、どいつもこいつもそんな感じになってきているように思うのはおれだけでしょうか。だからもうそろそろね、全部崩れてすべての嘘が明るみになるのも近いんじゃないかと思うんだけど、どんなもんだろ。
 
どうだろなあ。何かひとつきっかけがあればいいだけの話だけど、こればっかりは読めないもんなあ。
 
松本清張は最後まで北朝鮮をこの世の楽園と信じて死んだことだろうし、〈ミスター・グリコ 加藤譲〉は今もグリコのネオン看板を睨み上げているだろうしな。それが〈宝くじを買う人〉である。というところで今日はこれまで。
 
作品名:端数報告3 作家名:島田信之