端数報告2
白熊さんの教えを乞おうというお話
Teddy「だから警察は無能なんだ」
すみれ「何よ、もう一度言ってみなさいよ」
青島「おっしゃる通り!ですね。どうかひとつこの出来損ないにアドバイスなんぞ」
Teddy「なぜ事件が起きたかなど考えるな」
青島「はい」
Teddy「人が事件を起こすんじゃない。事件が人を起こすんだ」
青島「はあ」
Teddy「世の中は変わった。プロファイリングも既に時代遅れだ」
青島「おっしゃる通りで」
Teddy「お前達は無意識のうちに誘拐事件に動機と背後関係と反権力の思想を求めている」
青島「反省します」
Teddy「お前達は勝手に犯人像をふくらませ、自ら霧の中に迷い込んだ」
青島「ですよね」
Teddy「犯人の声を聞かせろ」
(録音再生)
青島「以上です。何かおわかりになりましたでしょうか」
Teddy「お前は常識や思い込みを捨てて聞けないのか」
青島「修行し直します」
Teddy「まだわからないのか」
青島「すいません」
すみれ「わかった」
青島「え?」
すみれ「わかったような気がした。何も考えずに聞いたら……これは○○○○○ね」
Teddy「そうだ。お前達が事件を複雑にしてるだけだ」
アフェリエイト:踊る大捜査線THE MOVIE
てわけで吾輩は猫である、ネズミを獲らない猫は猫じゃない、というのは昭和の名刑事・平塚八兵衛の言葉だが、『踊る大捜査線』劇場版第一作で小泉今日子演じる女殺人鬼はこのときこの映画の中で〈Teddy〉とだけ名乗っていた。三作目で名が付いたがおれは忘れた。彼女は熊である。名前はまだない。
だから世の中無能なおっさんばかりと言うのだ。池上彰はコロナに動機と背後関係と反権力の思想を求めている。松本清張は帝銀事件その他その他の犯人像を勝手にふくらませ、自ら黒い霧の中に迷い込んだ。反省しろ。修行し直せ。と言ってもおっさんには言うだけ無駄なことだろうが、『誘拐事件に動機と背後関係と反権力の思想を求める』と言えば5年前、2015年春のことだ。ケーブルテレビで『未解決事件捜査ファイル グリコ・森永事件』と言ったかな、題は正確に憶えてないが、そんな名前の番組があり、当時の捜査関係者が次から次に出てきてこの、
画像:刑事一代表紙
の聞き書きに応えるみたいに話す話す。それが4時間も続くというシロモノで、ハードディスクに録画しておれは見始めたんだけどすぐやんなって早送りし、半分も見ずに消去しちゃった。
出てくるおっさんおっさんの話がとにかくつまらないのだ。言うことがどれも同じで、
「あの事件はどうして解決できなかったんだろう。犯行グループはグリコと森永への怨恨と、なんらかの背後関係と、反権力の思想を持つ者達だったのは絶対間違いなかったんだが、その線をどれだけたどっても何も出てこなかったんだ。グリコと森永への怨恨と、なんらかの背後関係と、反権力の思想を持つ者達だったのは絶対間違いないんだがね、うん」
「あの事件はどうして解決できなかったんだろう。犯行グループはグリコと森永への怨恨と、なんらかの背後関係と、反権力の思想を持つ者達だったのは絶対間違いなかったんだが、その線をどれだけたどっても何も出てこなかったんだ。グリコと森永への怨恨と、なんらかの背後関係と、反権力の思想を持つ者達だったのは絶対間違いないんだがね、うん」
「あの事件はどうして解決できなかったんだろう。犯行グループはグリコと森永への怨恨と、なんらかの背後関係と、反権力の思想を持つ者達だったのは絶対間違いなかったんだが、その線をどれだけたどっても何も出てこなかったんだ。グリコと森永への怨恨と、なんらかの背後関係と、反権力の思想を持つ者達だったのは絶対間違いないんだがね、うん」
というのを繰り返すだけ。あまりに全員が同じなのでこいつらはクローン人間の集団なのか、それともおれのハードディスクレコーダーが壊れたのかと思った。そう言えば作家の高村薫というのが昔、おれは読んでないんだけど『レディ・ジョーカー』ってのを出したとき、〈このミス〉かなんかのインタビューに応えて、
「これは『グリコ・森永事件』はどうして解決できなかったんだろう、という考えから書いたものです。あの事件の犯行グループはグリコと森永への怨恨と、なんらかの背後関係と、反権力の思想を持つ者達だったのは間違いないと思うのですが、ではどうして捕まえられなかったのか。グリコと森永への怨恨と、なんらかの背後関係と、反権力の思想を持つ者達だったのは絶対間違いありませんよね。なのにどうして……」
アフェリエイト:レディ・ジョーカー
とか言ってるのを読んだときにつまらなそうな本だなと思い、このバアさんの考えだからきっと間違ってるだろう、となんとなくおれは考えたものだったが。
そのときはそう考えただけだった。それが15年ほど前で、その番組を早送りして見たのが5年前か。で、さっき書いた通り半分も見ないで消したんだが、削除した後で『待てよ』と思った。でもって『小説:グリコ・森永』というのを書いて今は亡き電子書籍サイト〈パブー〉に投稿。同じものを、
ヤマト航海日誌
https://novelist.jp/71614.html
これにも載せたのがまだ読めるのでリンクを押して当該のページを探して良ければ読んでみてください。それが事件の真相だと言うつもりも実は別にないのだけれど、その番組を何も考えず見たおれがわかったような気がしたことを小説――と言うより〈粧説〉として書いたものです。
同じことを帝銀事件で長編でやろうというのが〈ハーメルン〉で始めた、
粧説帝国銀行事件
https://syosetu.org/novel/234452/
なのですが、このあいだ「しばらく休む」と書いときながら今これを書いているのはお知らせしたいことが出来て、〈楽天コボ〉におれが出してる2つの作がいつの間にかレビューをもらってたんですね。見て「あれれ」と思ったんだが、この通り、
画像:『バレずに済めばいいことだもの』のレビュー
バレずに済めばいいことだもの
https://books.rakuten.co.jp/rk/ade0b7a819f03460bf1691f3d0809461/?l-id=search-c-item-img-09
画像:『貴方と私の獄中結婚』のレビュー
貴方と私の獄中結婚
https://books.rakuten.co.jp/rk/3f60c6a5452f301199dcf36e4981cbfa/?l-id=search-c-item-text-14
なんと5つ星! おやまあ、と思ったのでこの2作、これまで無料にしていたものを有料化することにしました。〈りんごみかん〉さん、おそらくこのブログは知らないと思いますが、どうもありがとうございます。
前にも書いたがおれは一度値段を付けたものを二度とタダにすることはないし、値上げしたものの値も下げない。次の作品もいずれ値を付ける考えですので、無料である今のうちにお求めください。
マイカ4×4