小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

青い絆創膏(後編)

INDEX|4ページ/15ページ|

次のページ前のページ
 

10話「現れた人」






私は、メールに書かれたその文を読んで、大きく気持ちが揺らいだ。


「一緒に死にませんか?」


“一緒に…死ぬ…?それなら、あんまり怖くないかもしれない…”

もちろん私は、当たり前だけど死ぬのは怖かった。でも、誰かと一緒なら、そんなに怖くないかもしれないと思ってしまった。

そして私は“逃げたい”と思う気持ちだけを見るようにして、怖い気持ちに捕まってしまわないうちにと、そのメールに急いで返信をした。


「初めまして。あなたは県内のどこに住んでいるんですか?」


文章はそれだけ。私は他に気を遣う余裕なんかなかった。それからスマホを両手で握りしめ、メール画面を立ち上げたまま、返信を待った。息が苦しくて、絶えず急かされているような緊張があった。

ほどなくしてその人からまたメールが来た。簡単な住所だけを見ても、私が居る駅前からさえ近くて、二十分ほど歩けば着く場所だと分かった。


私は、自分が軽はずみで向こう見ずな行動をしていることに気づいていた。でもそれ以上に今の苦しみの方が勝っていると感じた。それから、メールの送り主とのやり取りに従い、入ったばかりのインターネットカフェから退店して、待ち合わせ場所までは何かに駆られるように急いで歩いた。





私は、メールで「津田実」と名乗った人に指定された、コンビニの駐車場に居た。アーチ形の車止めに腰をもたせかけて津田実さんを待つ間、私は少し落ち着いて考えることが出来た。

“もちろん本名かなんてわからないし、会ったら私はさらわれて、売り飛ばされたりするのかもしれない…”

落ち着くと、そういった常識が湧いてきて、私は少し怖くなる。それでも、“これから死のうって考えてるんだから、そんなこと気にするなんて馬鹿馬鹿しいかも”と思って、それを退けた。


「あの…跡見、凛さんですか…?」



作品名:青い絆創膏(後編) 作家名:桐生甘太郎