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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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青い絆創膏(後編)

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たかこ:私は病院は行ってないんですけど、ちょっと事情があって、死にたいんです。それだけです
ことのり:そうなんですね
タイガー:ごはん食べられないとか、体動かないとかある?疲れやすいとか


“どうしよう…なんか、私病気だと思われてる?親切そうではあるけど、なんか薄気味悪い…”


私はしばらく返事を書かなかった。でも、その間にも画面は流れていく。


ことのり:もし、落ち込むだけじゃなくて、気力、体力、食欲にも異常が出たら、専門機関の受診をお勧めしますよ
タイガー:早期発見が早道
タイガー:学生だったら学校、社会人だったら職場行けなくなったら病院よ


私はそこで、ギクッとした。

“最近、学校行きたくなくて、全然行かない日もある…。”

で、でもそんなに問題じゃない、私はちょっとひどく落ち込んでるだけで、それに、自分が病気だなんて感じ、しないし…。


たかこ:学生なんですけど、たまに学校いけないときはあります
ことのり:心配だね
タイガー:ちょっと注意かな、でも、寝られない食べられないになったら病院おすすめ(;^ω^)


“そういえば、最近あんまりごはん食べてないかも…お母さんからも、「もっと食べなさい」って言われてるし…。それに、今日はこんな時間になっても寝てない…”

私はそこで初めてそれに思い至った。それまでは、そんなことを気にしてられる状況じゃなかった。


タイガー:じゃ、俺夜食くってくる(^^)/
ことのり:私は眠いので寝ます。たかこさんお体おだいじに
<<タイガー>さんが退室しました。>
<<ことのり>さんが退室しました。>
たかこ:ありがとうございます、ことのりさん、タイガーさん。


もう遅い時間だったのもあって、みんなあっという間に退室していってしまった。それに、ここはなんだかにぎやかな交流の場って感じみたいだった。

“場違い、だったかなあ…”


そう思っていると、私のポケットの中でスマートフォンが二度振動した。それはメールの受信を報せる振動だ。インターネットカフェに入る時も確認したけど、お母さんから五回ほど電話はあった。もしかしたら、今度はメールかもしれない。

私は見たくなかったのに、やっぱり罪悪感からホーム画面を開いてしまった。でも、そこにあったのは“お母さん”という文字ではなかった。

知らないメールアドレスからメールが来ていた。迷惑メールかもしれないと思ったけど、件名でそうでないことが分かった。


「自殺掲示板見ました」


私はその瞬間、ちょっとゾッとした。多分さっき、「初めましてトピ」にメールアドレスを載せてしまったからだろう。


“嘘。メールアドレス書くと、やっぱり送って来る人って居るんだ。どうしよう。でも、ただのメールだし…”

私は戸惑いながらも、内容を確認する。


「私、同じ県に住んでいる者です。お近くなら、これから会えませんか?」


“なにこれ。出会い系サイトと勘違いしてるんじゃないの?”そう思ったけど、私はその簡素なメールに添えられた最後の一文で、ぐらっと頭が揺らいだ。



「一緒に死にませんか?」







作品名:青い絆創膏(後編) 作家名:桐生甘太郎