青い絆創膏(前編)
私は考え込んで、屋上を冷たい風でどんどん体温をさらっていくのを感じていた。すると、たかやす君がひょいと私の顔を覗き込んでくる。
「わっ!?」
私は顔の真ん前にあるたかやす君の顔に驚いて、叫び声を上げてしまう。それからすぐに、「ごめん」と言って、ちょっとだけ元のように彼と距離を取った。
「えへへ、ごめんごめん。あのさ、もしかして…おうち、門限があるの?」
私は、“どうしてわかるんだろう”と思って不思議だった。だからいくらか詰まり気味に、「うん」と言う。
「うーん、でも、どうしても行きたいんでしょ?そんな感じだよね?」
「う、うん…」
私は不安だった。いつもくたびれているお母さんを、これ以上心配させていいんだろうか。でも、急に家庭の話なんか出来なかったから、たかやす君がまたふわふわとした声で言った、「いつもきちんと守ってるなら、許してくれるって」という言葉に、もう一度頷くしかなかった。