小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

少年と燃える青年

INDEX|5ページ/7ページ|

次のページ前のページ
 

熱い青年


 「いいや、まだだ!俺の話も聞いていただきたい!」
 凛々しくつやのある大声とともに、白地に炎の模様の羽織をまとった一人の青年が、風のような勢いで法廷に入ってきた。そして少年の横で片膝を突き、少年の顔を見てうなずいた。
「何だ貴様!」
 閻魔大王の右横に控えている側近の赤鬼が、自身の体のように真っ赤な声で言った。しかし青年は鬼にも怖気づかず、はつらつとした声で話した。
「名乗りは後だ。まずはこの少年について話したい」
「ふむ。申してみよ」
「今、俺のかたわらに居るこの少年は、確かに自ら命を絶つという大罪を犯した。しかし、あまたの人がこの少年の早すぎる死を悲しみ、死後の平安を祈っていることは事実だ」
 そう語る青年の太い眉と燃えるような赤い目は、まさに「真剣」を絵に描いたような様だった。
「また、人々の悪意ある書き込みの数々により、この少年は正常な判断ができなくなるほど心理的に追い詰められ、自ら現世に別れを告げるに至ったのだ」
 閻魔大王も鬼たちも、彼の話をさえぎらずに聞いていた。一方、少年は青年の熱弁を聞いて、下を向いて歯を食いしばって涙した。
「かように耐え難い苦しみを味わった彼に、永遠の罰を負わせるのは、一度考えていただきたい」
 青年はそう言うと、大きく一度息を吸い、閻魔大王に向かって一層大きな声で言った。
「もし、この思いが退けられるならば、俺はこの少年とともに業火に焼かれることさえいとわない!」
 炎のような青年の思い切った発言に、少年は驚いて彼の顔を見た。
「ええっ!?そんなことをしたら、お兄さんは…」
「いや、それでよい。君が一人で苦しみ続けることに、俺は耐えられないのだ」
 少年は、青年の体に寄り掛かり、声を上げて泣いた。青年は着ている羽織の半分を少年の肩に掛けると、慰めるように言った。
「君を孤独にはしない」
作品名:少年と燃える青年 作家名:藍城 舞美