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藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
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少年と燃える青年

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死後の行き先


 一人の少年と一人の青年の一連のやりとりを見届けたあと、閻魔大王は数秒間目を閉じ、目と口を開いた。
「では、あらためてこの亡者の行き先を判定する!」
 一同が、緊張の面持ちで裁判官を見た。
「突如現れた青年の、自らに与えられた天の恵みを捨ててでも、亡者と苦しみを共にしようとする深い愛に免じて、この亡者の行き先は、煉獄とする!」
 聞き慣れないワードを聞いて、少年は青年に尋ねた。
「あの、『煉獄』って何ですか。お兄さんに関係あるんですか」
 青年は大きめの声で答えた。
「『煉獄』、それは地獄に落ちるほど罪深くはないが、天国に行けるほど清くはない魂が、天国に行くために罪を清める場所のことだ。なお、俺には直接関係ない」
(へえ、そんな場所があるんだ)
 と思いつつ、少年は向こうの壁にある大きな穴の上の「煉」という赤文字を見つめた。
「少年」
 青年が呼びかけた。
「君はしばし苦しみを伴う清めを受けねばならないが、それを終えたとき、君は俺と再び会える」
 彼は、燃えるような眼差しで少年を見つめた。その思いは少年に伝わり、彼はほほえんで一度深くうなずいた。

 その直後、少年の体がひとりでに浮き上がり、壁にある穴に引き寄せられていった。穴に入る前に、少年は青年に向かって一礼した。
作品名:少年と燃える青年 作家名:藍城 舞美