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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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EMIRI 6 取り敢えず気になるアイツ

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第2章 ゴキブリ



 キャンパスをみのりが徘徊している。キョロキョロと辺りを気にしながら、小走りに動く理由は、恵美莉を探しているのだ。
 そんな中、恵美莉が迂闊にも、みのりの前方を横切った。

「恵美莉ーーー!」

みのりはまっしぐらに近付いて来る。それに気付いた恵美莉は、逃げようかと考えたが、大声で追いかけられるとカッコ悪いので、踏みとどまった。
「恵美莉! ハアハアハア、今一瞬逃げようとしたでしょ」
「ええ! そんなことしてないよ。みのりこそ昼休みどこ行ってたのよ?」
「お願い、頼みがあるの。お金貸して」
「もーう! 血相変えて・・・先週もそれ言ってたじゃない」
恵美莉は歩き出した。
「毎週1万円ずつ必要なのよ。返済に」
「返済? 元カレに取られてるんでしょ」
「返さないと別れてくれないんだよぅ」
「もう、放っときなよ」
「新しい彼にバレたら嫌だもんんんn・・・」
「何がよ?」
「まだ元カレ引きずってるって知られたら、捨てられそうじゃない」
「まだそんな程度の付き合いなの?」
「う~ん、実はぁ、別れる前にぃ、付き合い始めたからぁ」
みのりはシナを作って巻き舌で言った。
「相手には付き合ってる人いないから、って言ったんだね」
「そう。解るぅ?」
「じゃ自業自得! 自分で何とかせよ!」
恵美莉は歩くスピードを速めた。
「待って、お願い! 5千円でいいから」
「無理! あたしのバイト代、月に3万くらいしかないから」
恵美莉は、大学構内にある『学生相談室』の受付のバイトをしている。以前は実家のパン屋の手伝いもしていたが、週末は春樹と会うために、最近はサボりがち。
「もう、お悩み相談室のバイト変えれば?」
「いやよ、なんであんたのために! 桧垣先生と一緒の仕事、楽しいもん」
「あんた、桧垣先生とちょっと怪しいんじゃない?」
「桧垣先生だーい好き!」
「ほらほら、否定しない。菅生君(春樹)に言っちゃうぞー」
「別にいいよ。あたしらそんなことぐらいで、別れたりしないもーん」
実際には、恵美莉は桧垣助教授とは不倫関係にある。でもこれは誰にも内緒である。