EMIRI 6 取り敢えず気になるアイツ
「認印なら、2千円くらいからお作り出来ます」
「それでも2千円かぁ」
「既製品が200円ですけど、さすがに外人さんの名前は常備してないですからねぇ」
「ポーリー、2千円だって、どうする?」
「勉強シテクダサイ」
「変な日本語は、よく知ってるなぁ」
「ははは、さすがにここで簡単に作れるわけじゃないんで、製作に出さないといけませんので」
「あ、そうか、すぐに出来るんじゃないんだ」
「今スグ、デキナイカ? ソレハ困リマシタ」
「今日必要なの?」
「ハイ、オカネ、今日要リマス。寮費ト共益費、今日マデデス」
「現金持ってないの? 今までどうやって生活してたの?」
「クレジットカードデ、買イ物シマシタ。でも日本ハ、カードOKノ店、少ナイダカラ、キャッシングシマス」
「じゃ、今回もそうじゃダメだったの?」
「オ金ハ有リマスカラ、銀行ニアズケル。ソコカラ自動引キオチデス」
「ああ、自動引き落としってことね。じゃそれ少し、待ってもらったら?」
「モウ、1ヵ月待ッテモラッタ」
「馬鹿か、1か月もどうしてたん?」
「共益費ノ意味知ラナイダカラ、払ッテナカッタ。寮長サン怒ッテルヨ。ダカラ自動引キオチシロト言ワレタ」
「そういうこと・・・」
「外国人用の既製品が、近くの本店にならあるかもしれません。お名前なんと仰いますか?」
「ポーリーデス」
「・・・いや、ファミリーネームの方よ」
「ファミリーネームは、Dobbinsデス」
「え? 何て言った?」
「Dobbins」
「どびん?」
「ハイ、Pauly Dobbins(ポーリー・ドビンズ)」
「ポーリー・ドビン? そんな苗字初めて聞いたわ」
「ドビン様ですかぁ。さすがにそのお名前の既製品は無さそうですね」
「ですよねぇ」
「ナイデスカ? 探スハ?」
「ないわ!」
作品名:EMIRI 6 取り敢えず気になるアイツ 作家名:亨利(ヘンリー)