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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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EMIRI 6 取り敢えず気になるアイツ

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「私ト、銀行員ノ果タシ合イデス」
「何言ってんの、出るわよ。ハンコが要るのよね?」
そう言うと恵美莉は、ポーリーのお腹のリュックを引っ張って歩き出した。その場にいた行員は、
「何か印鑑があれば助かります。ありがとうございます」
その様子を周囲のお客が見て失笑しているのを、ポーリーは申し訳なさそうに
「カタジケナイ。カタジケナイ」
と頭を下げて通った。春樹も恵美莉の迫力に驚きながら、その後を追った。

 店頭の自動ドアを出たところで恵美莉は振り返り、リュックを引いた手をようやく放した。
「ポーリー、あなた引き落とし口座を作りたいのよね」
「ハイ? 銀行ノカードガ欲シイノデス」
「それじゃカードを作るには、お金を預ける口座がいるの」
「コーザ? ソレハ、ドコニイル? カード、アル?」
「お金を引き出すカードのことよね? キャッシュカード? クレジットカード?」
「American Express、ソレトVISAカードヲ、持ッテマス」
「じゃ、やっぱり銀行のキャッシュカードが欲しいの?」
「ソウデス」
「じゃ、その為にはハンコが必要」
「ハンコ持ッテマセン」
「ハンコって意味わかるの?」
「知ッテマス。Jpanese seal impression(印鑑証明)デスカ?」
「シール・インプレッション? 何それ? あたし知らないわ。ハンコは知ってるのね」
ポーリーは、手でハンコを押すしぐさをして見せた。
「ああああ、それそれ! 持ってる?」
「持ッテマセン」
「じゃ、まずは、それ買いに行け!」(本当に面倒くさいやつ、普通の会話がこんなに通じないか?)
「買いに行けったって、外人のハンコなんかどこで買うんだよ」
春樹が口を挿んだ。
「外人ノ、ハンコナイ?」
「作ればあるから」
「ハンコ屋さん紹介してやらないと、無理だよ」
春樹がそう言うと、恵美莉は、
「面倒だけど、手伝ってやるしかないわね」
「カタジケナイ。コノゴ恩ハ、一生忘レマセン」
「・・・なんか腹立つ」