EMIRI 6 取り敢えず気になるアイツ
「・・・ですからスタンプが必要です」
「スタンプハ郵便局デスカ?」
「は? スタンプはあなたのスタンプ」
「私ノスタンプハ、何ノコトデスカ?」
「あなたの名前です」
「私ハ、ポーリー、デス」
「ポーリー様のスタンプが必要です」
(ははぁん、スタンプって切手のことだけど、あの銀行員それを知らないで、ハンコの意味で言ってるのね)
見かねた恵美莉は二人に近付いて行った。
「ハイ、ポーリー」
するとポーリーは超高速で振り向いた。そんな彼のしぐさに恵美莉は思わず吹き出してしまった。
「マタ、アナタデスカ? エミリー」
「調子はどう?」
「トテモ、スガスガシイデス」
「うそでしょ。どう見てもトラブってるわ」
「大丈夫デス。一人デデキマス」
「行員さん困ってるじゃない。どうしたんですか?」
恵美莉はその銀行員に尋ねた。
「ああ、口座引き落としの依頼書をお持ちなのですが、口座をお持ちでないようですので・・・」
「問題ナイ! 自分デデキマス!」
ポーリーは恵美莉を押し退けるように、行員の前に割り込んで立った。負けじと恵美莉はポーリーを押し返した。
「私が教えるから、おとなしくして!」
「要ラナイ! 自分デヤルノ勉強ノタメ」
「今はダメだって。ポーリー、後ろを見なさい!」
ポーリーは周囲を見回した。
「あれだけ並んでんだから、みんな忙しいのよ」
「アア、ホントウニ・・・」
ポーリーもその状況を少し理解したようだ。そこに春樹がやって来た。
「恵美莉、何、もめてんだ?」
「もめてんの私じゃないわよ。やーねぇ」
作品名:EMIRI 6 取り敢えず気になるアイツ 作家名:亨利(ヘンリー)