EMIRI 6 取り敢えず気になるアイツ
「真ん中の部屋? トイレにそんなのある?」
「取リ敢エズ、アリマス」
「ええ? 思い付かない。掃除道具入れ?」
「違イマス。トイレノ便器ガアル、広イ部屋デス」
「ああ、身障者用とかのか。車椅子とか、赤ちゃんを連れてる人とかが使うのよ」
「男ト女ノ表示ガアルノハ、変ジャナイ?」
「誰が使ってもいいってことよ」
「オオ、ソウ言ウ意味カ。私ハ、トランスジェンダー専用ト思イマシタ」
「ああ、そこまでは考えられてないかも」
「私使ッテモイイ?」
「いいよ」
「ジャ、次ゼッタイ使イマス」
「フフフフフ。あんた面白い人だわ。じゃ、あたしも聞きたいことがあるけどいい?」
「ハイ、何デスカ?」
「もう、寒くなって来たのに、なんでTシャツ1枚なの?」
「Tシャツシカ、持ッテ来テマセン。日本ハ、カナダヨリ暑イデスネ」
(ほーう)というふうに頷いて、恵美莉もカップを取り出した。
「椅子に座る?」
「ハイ」
作品名:EMIRI 6 取り敢えず気になるアイツ 作家名:亨利(ヘンリー)