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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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EMIRI 6 取り敢えず気になるアイツ

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 みのりは小峠先輩に説明しなければならないことがたくさんあった。桧垣は気を利かせて、カウンセリングルームを提供しようかと声をかけたが、みのりはそれを断った。そして桧垣は、恵美莉にそれとなく目配りした後、声はかけずにその場を去った。
 春樹は4時限目授業の出席を諦め、帰宅することにした。恵美莉も一緒にと誘われたが、ポーリーのことが気になって、まだ大学に残ることにした。

 ポーリーはすでにロビーを後にしてしまっている。こっちの様子など気にせず行動するポーリーが去ると、いつもなら清々していたのだが、この時ばかりは恵美莉は走って彼の後を追った。その彼はいつもの自販機の前に立っていた。
「ポーリー」
ポーリーはまた、眉間にシワを寄せた。
「ナンデスカ?」
こんなポーリーの態度は、失礼なヤツに思える。しかし今の恵美莉は、これこそがポーリーの個性として受け入れられるようになっていた。
「さっきはありがとう」
「ドウイタシマシテ」
と、きっちり頭を下げるポーリーに、慌てて恵美莉もお辞儀した。
「おごったげようか」
ポーリーは、眉を上げて何も言わなかった。
「借りを返すだけよ」
恵美莉は、自販機のリアルゴールドのボタンを指差して、
「ねっ」
と言うと、スマホを取りだして、自販機のボタンを押した。そしてスマホを読み取り部分に押し当てると、カタンと紙コップが出てきた。
「オーウ! コウヤッテ買ウノデスネ。知ラナカッタ」
「いつも10円入れてたもんね」
「モット知リタイコト、沢山アリマス」
「どんなこと? 教えたげるよ」
恵美莉は注ぎ終わったカップを取り出して、ポーリーに渡した。そしてもう一つリアルゴールドのボタンを押した。
「アリガトウゴザイマス。デハ、トイレノ男用ト女用ノ、真ン中ノ部屋、誰ガ使イマスカ?」