EMIRI 6 取り敢えず気になるアイツ
(ポーリー。どこでそんなの手に入れたの?)恵美莉は驚いた。
そしてリュックを肩から降ろすと、左側に投げ捨て、刀の柄を両手で縦に握り、両肘をイカらせ、それを顔の前に構えた。まるで中世ヨーロッパの騎士のように。
「なんだそれ? そんなオモチャで、ビビるとでも思ってんのか!」
しかし、周囲は混乱した。この日本刀が真剣でない保証などない。なぜならポーリーだから。奇行だらけの外人だから。
恵美莉を筆頭に、みのり、春樹、そして桧垣助教授も少しずつ後退りした。その異様な空気に、元カレの表情から、やや迫力が抜けた。
微動だにしない小峠。そしてポーリー。
「なんだよ。こいつら。暴行しようってのか!?」
それでも誰も何も言わない、少しでも動くと、小峠の竹刀は元カレの喉を突き、ポーリーの刀は鞘から抜かれるだろう。
作品名:EMIRI 6 取り敢えず気になるアイツ 作家名:亨利(ヘンリー)