小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

EMIRI 6 取り敢えず気になるアイツ

INDEX|27ページ/34ページ|

次のページ前のページ
 

「俺は女に会いに来ただけだ」
「女だと? お前は捨てられた未練で追っかけて来たんだろうが」
小峠はいつもとは違う、低いどすの利いた声で言い放った。
「俺とやろうってのか! この野郎!!」
更にどすを利かせて言い返す。
「お前なんか竹刀があれば、河辺でも倒せそうだなぁ!」
全く引かない小峠。そして竹刀を覆う竹刀袋の紐をほどいた。

(ちょっと、予想と違う展開だけど。どうしよう? 止めた方がいいんじゃないかしら?)
 恵美莉が戸惑って春樹を見ると、彼は顔面硬直中だった。
(そうね。春樹君には無理)
桧垣が恵美莉を見て頷いた。そして、
「ちょっと、君たち! こんなところでケンカはよしなさい!」
「うるっせえ!!」
元カレが振り返って、桧垣に怒鳴った。そして再び小峠を睨んだ。

 小峠は相手の目を睨んだままで、静かに竹刀を抜いた。そしてそれを振り上げ、剣術の一挙動で瞬時に間合いを詰め、剣先をピタリと相手の喉元に向けた。
 これでは元カレは動けない。わずか50センチ先にある竹刀に、完全に行動の自由を奪われてしまったのだ。
「もう帰ってちょうだい!」
みのりが叫んだ。
「勝手なこと言ってんな!」
「あなたとはもう、縁を切ったの!」
「よくもそんなこと言いやがるな!」

 そのやり取りの中、もう一人動いた者がいた。ピンクのTシャツにリュックをお腹にかけたポーリーである。
 小峠の背後から、ポーリーがゆっくりと前へ出た。小峠と並び、まっすぐに元カレを睨みつける表情は、いつもの眉を寄せた顔だが、どこか周囲に異様な迫力を感じさせる。そして、ポーリーはお腹にかけていたリュックのファスナーを開けた。そしてそこから取り出したものは、なんと、立派な鞘に納まった一本の脇差(日本刀)だった。