EMIRI 6 取り敢えず気になるアイツ
「う~ん、今、元カレが来てるんですけど、う~~~会いたくないんです」
「どうして会いたくないの?」
「う~ん・・・」
言いにくそうに考えるみのり。
(これでは自発的な説明は期待出来ないだろうな)
桧垣はすぐに方針転換を図った。根掘り葉掘り聞き出した方が、本人も話しやすいと考えたのだ。
「もう縁を切ったからだけじゃなさそうだね」
「縁を切りたいんですけど、追っかけてくるから逃げてるんです」
「どうして追っかけてくるのかな?」
「・・・・・・」
「河辺さんに未練があるってことなのかな?」
「そうだと思います」
「そもそも河辺さんは、どうして別れたいと思ってるの?」
「実は、他に好きな人が出来て・・・」
「そのことは相手は知ってるのかい?」
「いいえ、言ってません」
「じゃ、追っかけ続けるのは当然だね。新しい人と付き合ってる姿を見せても、身を引きそうなタイプじゃないってこと?」
「絶対引き下がらないと思います」
「新しい人は力になってくれないの?」
「そんなことまだ頼めません」
「そうか」
「どうしたらいいでしょうか」
「どうしようか。これってよくある相談なんだ」
「そうなんですか?」
「別れる前に付き合い始め出すと必ずこうなるって、覚えておいて」
「こんな時、先生はいつもどんなアドバイスをしてるんですか?」
「僕を交えて話すのが一番手っ取り早いよ」
「先生が説得してくれるんですか?」
「うん。意外に簡単に方が付くと思うよ」
「じゃ、お願いできますか」
「相手は何学部の学生?」
「あ、実はこの学校の生徒じゃないんです」
作品名:EMIRI 6 取り敢えず気になるアイツ 作家名:亨利(ヘンリー)