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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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EMIRI 6 取り敢えず気になるアイツ

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「何言ってんの? 今何してんの?」
恵美莉はカウンセリングルームから、慌てて出て来た姿をみのりに見られて、(まずい)と思った。しかしそんなことより、みのりの方がよっぽど慌てないといけないことがある様子だった。
「あいつが来た」
「え? 大学まで来たの?」
「そう。絶対来ると思って警戒してたら、ホントに来た」
手に持つスマホの画面を恵美莉に向けたが、そこには地図らしいものが表示されている。よくは見えないが、GPSでお互いの居場所が分かるアプリを使用しているようだ。
 みのりは図々しく、カウンターの奥のカウンセリングルームの前まで入って来た。
「先生は?」
「あ、今、・・・カウンセリングの準備中」
みのりはドアを開けたままのカウンセリングルームを覗いた。
「先生こんにちは」
「あ、河辺さん。何かトラブル?」
桧垣はPC操作をするふりをしながら、何食わぬ顔で声をかけた。
「大トラブルになりそうです! でもここお邪魔ですよね」
「みのり、カウンターの下に隠れなよ」
「うん、そうする」
「ははは、そんなことしなくてもいいさ。どうせ今日は暇だから、河辺さんの話聞こうか?」
「いいんですか?」
みのりはカウンセリングルームに入った。恵美莉はやや戸惑いながらそのドアを閉めて、静かにカウンターの席に着いて息をゆっくりと吐いた。
(あ~あ、中途半端だな。いいとこだったのに・・・・・・)

 桧垣は机に突いていた肘を下ろして、椅子に斜めに座り直し足を組んだ。
「さあ、まず自分がどういう状況か説明してください」
桧垣は相談に来る学生には、いつもこう話し始める。こぼれ聞こえた話から、誰かから逃げていることは解っているが、自発的な説明をさせることで、隠し事まで打ち明ける勇気を引き出すためだ。