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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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EMIRI 6 取り敢えず気になるアイツ

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「I don't mean always watching you. I'm just taking a break here every day at this time.
(いつも見てるわけじゃないよ。あたしは毎日この時間、ここで休憩してるだけだから)」
「・・・人ノコト、ギロギロ見ルナヨ」
彼はたどたどしく、少し笑って言った。
「正しくは、“じろじろ”よ」
すると彼は、「Oh!」と言うふうに口を開けて、更に笑顔になった。決して失礼な人物ではないようだ。まだ日本語がおぼつかないだけだろう。恵美莉は右手を差し出しながら、立ち上がって、
「Well. My name is Emiri・・・(えっと。あたしの名前は恵美莉・・・)」
「No! ナンデ英語デ話シマスカ? オヌシハ日本人。“エミリー”ト言ウ名前ハ、変!」
彼は力を込めて言って、握手には応じなかった。
「これは本名なの!」
恵美莉も、口調が少し強くなってしまった。すると彼は、
「ソウデスカ、日本ノ名前デスカ。私ハ、ポーリー、デス。ヨロシク、オ願イシマス」
今度はすごく丁寧にお辞儀をしながら、自己紹介を返してきた。
「Where are you from? (出身はどこ?)」
「ダカラ NO! 日本語ヲ話シテクダサイ」
また急に、強い口調に戻った。
「ナゼナラ、私ハ、日本語ヲ勉強スルタメ、日本ヘヤッテ来マシタ。ナノニドウシテ、英語デ話シマスカ!?」
恵美莉は彼の真剣な面持ちが可笑しくなって、少し揶揄ってみた。
「なぜなら、あたしは、英語を勉強するため、この大学に来ています。だから、英語で、話します」
「Don't be silly!(バカにするな!)」
「ごめんごめん。バカにしてないよ」
恵美莉は慌てて少し早口で謝った。しかし彼は怒って、恵美莉の横を素通りして行った。その時、律義にもこう言いながら、
「拙者ハ、カナダ人デス・・・」

 丸い眼鏡の分厚いレンズの奥に、グレーの瞳とそばかすだらけの頬。ゴワゴワした感じの金色のくせ毛。そして童顔でポッチャリとした小柄な体形。白人男性としては、お世辞にもカッコイイとは言えない感じ。
これが恵美莉と、カナダからの留学生ポーリーとの、ファーストコンタクトだった。