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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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EMIRI 6 取り敢えず気になるアイツ

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プロローグ



今日も彼が自動販売機の前に立った。

(・・・リアルゴールド・・・リアルゴールド)

彼が10円玉を、連続で8枚入れるのを確認。

(ラージカップのリアルゴールドね・・・)

彼は予想通り、そのボタンを押した。

(ほら、今日もまたリアルゴールド)

※リアルゴールド:ビタミン炭酸飲料

 恵美莉はすぐ横のテーブルの椅子で、目立つ黄色いTシャツを着た、その外国人の様子を見ていた。彼を見かけるようになってから、もう2ヶ月になる。11月になるというのに、Tシャツ姿は気になるスタイルだが、いつも原色を着ていることも目立つ要因だった。
 彼は自動でドリンクが注がれるのを苛立たそうに待って、完了のランプが点く前に、取り出し口に手を突っ込んだ。そしてその中を覗き込みながら紙コップを引き出すと、振り返り様に恵美莉と目が合った。
 その動作すべてを見ていたことを悟られ、恵美莉は気まずい表情になったが、彼も何か恵美莉のことが気に障ったようで、あからさまに眉を寄せて睨んだ。

「・・・バイタミン(ビタミン)ドリンク」
 恵美莉は、バツが悪い空気を回避するために、ニコッと笑ってそう言った。
「ハイ、ソウデス」
彼は眉を寄せたままでそう言った。
「You always buy that vitamin drink. Yes?
(君いつもそのビタミン飲料買ってる。よね?)」
「取リ敢エズデス・・・ナンデ、知ッテマスカ? イツモ見テマスカ?」
少し考えてから、つたない日本語でそう聞いてきた。彼、なんだか怒ってる様子だ。