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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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EMIRI 6 取り敢えず気になるアイツ

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第4章 カウンセリング



「お疲れ様でーす」
「やあ、お疲れ」
「・・・・・・」
「どうしたの? 何か様子、おとなしいね」
 PCを立ち上げていた桧垣が手を止めて、いつもと様子が違う恵美莉に聞いた。
「はい、少し衝撃なことがあって」
 カウンセリングルームのある学生相談室には、普段は誰もいない。青年心理学を専門とする桧垣助教授が、研究の一環として悩み多き学生たちのカウンセリングを行っているわけだが、恵美莉は週に2~3回、アルバイトという名目でその受付の手伝いをしている。しかし、相談予約のない日は、二人だけの自由時間なのだ。

「留学生にポーリーって人がいるんですけど」
「ああ、ドビンズ君ね」
「知ってます?」
「うん、カナダの街と姉妹提携してるから、特待生扱いで来てるおっちゃんだ」
「おっちゃん?」
「うん、33歳だったと思うけど」
「え? そんな年取ってたの? 童顔だからそんなに離れてないと思ってた」
「まさか、惚れたのかい?」
「違いますよ。でもなんだか、すごく気になって」
「どういう意味で? 男としてじゃないだろ?」
「うーん、先生に建て前は必要ないから、はっきり言っちゃいますけど、どうやら男としてです」
「ええ? あの人のどこがそんないいいの?」
「えへへ、ヤキモチ妬かないでくださいね」
 恵美莉はカバンを待合のベンチに放り投げ、髪の毛をかき上げながら、桧垣の机に近寄り、隣の椅子に座った。髪をかき上げると周囲にシャンプーのいい匂いが漂うのが分かっていた。
「変な外人なのは間違いないんですけど、話してると・・・話もろくに通じないくらい変な日本語しゃべるんですけど、信念みたいなもの感じるんです」
「ほほう、それは興味深いな。今日は暇だから、川崎さん(恵美莉)のカウンセリングやろうか」
桧垣は微笑んだ。
「はい、お願いします」