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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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EMIRI 6 取り敢えず気になるアイツ

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(餌付けする気?)
そうしていると次から次に、鳩が飛んで集まって来た。
(なんだありゃ、鳩使いか?)
そのうちにとんでもない数の鳩が集まり、周囲に学生たちも集まって来た。
(何やってんだか)
恵美莉はそれを遠くから眺めていたのだが、ふとポーリーが恵美莉に気が付いた。
(あ、見付かった。知らんふりしよう)
ポーリーが軽く手を振った。
(知らんぷり、知らんぷり)
恵美莉が反応しないので、ポーリーは鳩を脅かさないように、ゆっくりと大きく手を振った。
(やめてよ、周りの人がこっち見てるじゃない)
それでも気付かないふりをする恵美莉。でもその態度は白々しく見える。今これだけ注目を集めるポーリーに、気付かない学生などいるはずがない。
(ああ、やめろよ本当に)
ついにポーリーが立ち上がった。紙コップを口に付け、リアルゴールドを飲み干すと、右手の人差し指を一本立てて、左の下腹部に当て、そこから勢いよく腕を振り上げた。

「行ケーーーーー!!!」

と大声で叫び、まっすぐに恵美莉を指差すと、鳩の大群は驚いて飛び立って、一斉に恵美莉の方向に飛んで来たのだ。
(な、ん、な、な? 何すんじゃい!!)
その群れの後をポーリーも走って来る。鳩の大群が恵美莉のベンチの上を、バサバサと通過して行く。
「きゃーーーー!」
その間、恵美莉は肩をすくめ、両足を浮かして、ベンチにお尻で浮かぶように座って、その恐怖をやり過ごした。
「エミリー! 何ヲシテマスカ?」
タタタタタと、ポーリーは眉を寄せて走って来た。
「貴様こそ、何してくれとんじゃい!」
中庭は大きな笑いに包まれた。しかしポーリーには、そんな周囲の様子は見えていないらしい。さも当然のように恵美莉の横に座り、またいつものように真顔で、
「聞イテクダサイ。私ハ、ハトガ好キナノデス。家デハ、タクサン飼ッテイマス」
「はぁ? 鳩なんか飼ってんの?」