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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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EMIRI 6 取り敢えず気になるアイツ

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「それに初めてカラオケ合コンした日、みのりは佐々木さん狙いだったし」
「へえ? そうだったの?」
「あたしは春樹君目当てだったけど♡」
恵美莉が春樹の腕に抱き付くと、春樹は少しニヤけた。
「探ってみようか。みのり最近、授業の合間に行方不明になるのよ」
「まさか、佐々木のマンションに行ってるんじゃないか? 正門のすぐ前だし」
「二人とも同時に消えたらビンゴね。へへへへへ」

 恵美莉はみのりの受講する教科の時間割を、おおよそ把握している。春樹は同じく佐々木の時間割を知っていた。その二人が同時に空き時間となるタイミングを探し出すのは、意外に簡単だった。
「今日じゃん。二人とも授業がないのは3時限目だ」
「さっき、みのりと昼休み一緒に食べたら、あたしは春樹君のとこに来たでしょ。でもその後みのりは、一人でカフェテリアにいるんだと思ってたけど、どこ行ってんでしょうねぇ~」
二人は顔を見合わせて笑った。
「俺、3時限後に正門辺りで見張ってようか」
「うん」
恵美莉はこういうことが大好きな女子なのだ。


 昼からの講義が一つ終わると、桧垣助教授が担当する学生相談室が開錠される。恵美莉はその受付のバイトの準備をしないといけないが、それまでには30分も時間があった。
 最近はこの時間潰しを、自販機の前のテーブルではしていない。ポーリーがドリンクを買いに来ると面倒だからだ。そこから少し離れた、中庭のベンチに一人座っていると、
(あ、いた。あんなところに・・・)
反対側の花壇の縁に、ポーリーが座っているのが見えた。
(やっぱりリアルゴールドの紙コップを持ってるな)
ポーリーが、お腹に担いだリュックから、何やら取り出した。
(またあの格好? 変なリュックの担ぎ方。それに今日はピンク色のTシャツ?)
彼の前には鳩が数羽歩いている。
(はは~ん。鳩にエサをやるつもりね)
ポーリーは、リュックから出したスナック菓子を細かく砕いて撒き始めた。