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第三話 くらしの中で

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その三 プレゼント



そんなことを考えながら母の日を過ごした。
その翌日宅急便で大きな箱が届き、開けてみると長女からの花の鉢植えのプレゼントだった。今では外国からでも電話一本で日本の店から送り物ができる。

そういえば去年も鉢植えを贈ってくれたなと思い出した。去年はブルーベリーの木に沢山の実が生っていた。今年はオリーブの木が主な寄せ植えだ。大きくなる前にどこかに植え替えをしようと思っていたら、娘からもそのようにしたらと言ってきた。

私も母には沢山のお金や、学生で他県に居たときはいつも洋服を送ってもらっていたが、私から母に何かを買ってあげたことは記憶にない。何かの行事や記念日に集まったり祝ったりする習慣がない家庭だった。

それはそれで良いと思っていたけど、今になっては子供から何かをもらうのは嬉しいものだ。気にかけてくれているということが幸せな気分になるからだ。


今の私は次女と孫の誕生日に何かを送るのが楽しみだ。
孫には中学生になってからお金を送るようにしていたが、お礼の電話をしてこないので品物で喜ばすことにした。この前はチャットで対面しているとき荷物が届いたというので開けさせた。喜んでいるのを見ることがうれしいからだ。

娘には長い間ジュエリーを贈っていたが、最近はお金を送るようになっていた。
娘からはその度にメールで「ありがとう」と五文字のお礼が来ていた。

最近娘は私の老後の預金より沢山お金が出来たとよくメールしてくる。
現金ではなく債権なのでいわばあぶく銭だけど現金化すればお金には間違いない。

月給はそれほど多くはないのだが、それでも満足しているようで自慢してくる。
そうかそうかと私も喜ぶふりをしているが、学歴が良いのに子会社だから安い。
それで本人いわく、副業として少額から始めた株やドルや仮想通貨などが雪だるまのように増えているのだそうだ。
そんなもの持ってても、何かあったら私は分からないから長生きしてよねと言ってある。

願い事は叶うもので、本人はお金を貯めることが一番の願いだったようだ。


作品名:第三話 くらしの中で 作家名:笹峰霧子